2007-06-01(金) [長年日記]
■ 反逆者の月 (ハヤカワ文庫SF)(デイヴィッド ウェーバー)
スペオペとしてはまぁ、ふつうに楽しめた、かな。もっとも、及第点はあげられないが。
なんといっても、最初の100ページだけで設定を全部説明しつくすという大胆構成はちょっとなー。まぁ、はっきりいって目新しさはないし、変に謎めかすよりはいいかも知れないが。
あとは、核兵器の扱いがぞんざいすぎる。書き手がアメリカ人で、読み手が日本人だから、温度差があるのはしかたがないとはいえ、やはり連中の描く「核」には真剣味が足らん! と思う。
2007-05-30(水) [長年日記]
■ 古紙回収場で貴重な本を見つけたらどうするか
「貴重」でなくても「懐かしい」程度でもいいけど。
水曜は古紙回収の日なので、出社前に雑誌の束を集積所にどん、と出した。そのとき、ちら、と横を見たら、新井素子の(初期の)コバルト文庫作品が一揃い、ひもで縛って出されていた。「うおっ、懐かしい」と思わず拾って持ち帰りそうになったが、本当に読むのかと自問して抑えた(ここで某makiさんが片眉をピクっと動かす)。まぁ、遅刻しそうだったし。まぁ、今は新装版が買えるようだし、そんなに希少でもないか。
こんな風に、捨ててあった古書を回収したことは2、3度あるけど、最近は(置く場所がないとか)いろいろ理由をつけて躊躇してばかりだなぁ。「そんなことではいかん!」なのか「大人としてふつーでしょ」なのか、悩ましいところだ。
2007-05-28(月) [長年日記]
■ 原作どおりならいいってもんじゃない
今年はお気に入りの小説やマンガが映像化されることが多くて、忙しい合間を縫って録りためたビデオを少しずつ消化している。そうはいっても、なかなか満足のいく映像化作品にはお目にかかれない。
『おおきく振りかぶって』のアニメは、あまりに忠実に原作どおりで、いくらなんでもそれはないだろう、という感じ。セリフから何からそのままなので、まったく新鮮味がない。そりゃぁ、原作どおりじゃないというだけで怒り出すしょうもないファンが多いのは知っているが、だからといってこれは工夫がなさ過ぎるというものではないか。
一方『エマ』の第二部は、いきなり原作からずいぶん遠いところから始まってしまい、早々についていけなくなった。逆の意味でやりすぎだ。やはりこういうものは、ほどよいアレンジを施した、バランスの良い映像化を期待したいところ。
その点、こないだ最終回を迎えた『ロケットガール』の脚本なんかは文庫2冊分の原作を手際よくまとめていたし、演出面では原作では描けなかったところを上手に絵で見せていて素晴らしい出来だった。これでショボいCGがなんとかなっていれば……。
って、アニメばかりだな。でもアニメなら、登場人物が全員メガネ装着という『電脳コイル』にとどめを刺すよね。って、これは原作付きじゃないか。
で(本題)、この夏にはいよいよ『夕凪の街 桜の国』の映画が公開されるわけで、期待するなという方が無理なわけだ。特別試写会の案内があったのでいちおう申し込んだんだけど、
- なぜか東京だけブロガー試写会で、
- でもブログのURLが必須じゃないという。
- 平日なのに時刻が書いてないから、当選しても行けるかどうかわからんし。
- そういえばうちの日記にもわかってないコメントを残してる……
どんだけビミョーな広告代理店を雇ってるんだよ! と、すんごく心配になる。まぁ、広告代理店がビミョーなことと、作品の出来には関係がないしね。
でも、監督インタビュー(2)では「桜の国」が「街」でなく「国」である理由について延々考えたとか言ってたり(これはこの作品の中では一番わかりやすいメッセージのひとつでは?)、いっぽうインタビュー(3)では4回読んだだけですべてを理解したとか言うし、やっぱりビミョーな気分になる。
映像ではいっぺんで理解してもらうために易しく作るというポリシーには賛同するけど、そもそも監督が作品を理解してるのかどうか、インタビューを読む限りでは不安だ。「原作どおりに作ってくれ」なんて青いことを言う気はないけど、それなりに理解して作って欲しいものだ。今ごろ言っても手遅れだけど。
◆ kitaj [表紙絵のダサさっぷりのせいで全然期待してなかったら意外と楽しめしたよ。 核の話は同感。]