2007-04-04(水) [長年日記]
■ ハワイ島旅行(2) - すばる望遠鏡見学
つーわけで、
VLBA 25m、どん!
SMA 6m×8、どん!
というわけで、ついに海外パラボラに進出だッ!! 以上、おわり!
……なわきゃない。
どうやってマウナケア山頂まで行くか
ハワイ島に行くならやっぱり、すばる望遠鏡を見なきゃねぇ。というかむしろ、おれ的には必然的にそれが主目的になるわけだが、オフィシャルな見学ツアーは現地集合(!)である。マウナケアの山腹を縫うサドルロードはレンタカーは保険適用外、しかも山頂へのアプローチは急斜面の未舗装路だから4WDが必須ということで、個人で手配するにはかなりハードルが高い。ツアー会社を利用するにしてもけっこうな金額だし。
どうしたもんかと悩んでいたら、なんとすばるの中の人(匿名)から助け舟が! 詳細は省くが、宿までの送り迎えと専任ガイド付きという贅沢極まりないツアーが決定。あり得ないほどの幸運に恵まれて、身震いする思いである。
山頂は4000mを越える標高なので、高山病予防のために前日は酒を飲むな、食事にも気をつけろ、よく寝ておけと、イロイロ制約がついているので、到着翌日(つまり今日)行くことにした。
ヒロ〜ハレポハク
朝食にいきなりヘビーなパンケーキを出されて閉口しつつ、朝はのんびり。11時近くになってガイド氏登場。昼食用にヒロのダウンタウンで「Bento」を買いつつ、ちょっとショッピングまで付き合ってもらう。Bentoは本当に弁当で、ごはんとおかずがプラケースにパックされていた。日系人が多いので和食文化がけっこう根付いている。買い物は、Ruby色の麻のアロハなどを購入。ちょっと高かったけど、経済感覚の破壊された観光客を演じることでヨシ(?)とする。
ヒロからダイレクトにサドルロード(200号線)に乗り入れて、そのまま西へ。途中で山頂へのアプローチロードへ曲がり、標高を上げていくと2800mほどのところにあるハレポハクに到着。通常ここは、オニヅカ・ビジター・センターとして知られているが、今回我々は「中の人」の一味なので、そこよりもやや高いところにある研究者のための施設、Astronomer's Mid-level Facilityに入る。なんかセレブな気分だね。
ここは山頂に観測施設を持つ各国が共同で運営する施設で、研究者が飲み食いしたり休息したりする場所。ビリヤード台や、各国の娯楽小説や映画のDVDが(おそらく自然に)集まったライブラリもある。我々もここで高地馴化を行いつつ、弁当を食べる。最低30分はここで過ごすのがルール。
マウナケア山頂へ
ここで車を乗り換える。すばる所有の4WD(たぶんHILUX SURF相当)。「TOYOTAなのにSUBARUのステッカーが貼ってある」ところが笑うポイント。ハレポハクを出ると、すぐに未舗装になる。けっこう整備されている印象の道だが、数日おきに表面を削って凹凸をならしているらしい。理想的な観測環境を維持するのも大変だ。
途中、VLBAに向かう枝道があるので寄ってもらったりしながら(ほんま贅沢なツアーだな!)、徐々に山頂を目指す。特に高山病の気配はないけど、さすがに息がつらい感じ。深呼吸を心がけ、動くときはゆっくりゆっくり。間違っても走ろうとか考えてはいけない。
すばる望遠鏡
そして山頂に到着。GeminiやKeckに混じって、日本の誇る1枚鏡からなる世界最大の光学望遠鏡「すばる」が見える。いやー、まさか本当に見学する日が来るとは。それにしても、赤茶けた大地に林立する望遠鏡群は、遠目にはなんだか火星に作られた植民コロニーのようだ。SF魂を刺激されるねぇ。
建物の中に入ってヘルメットをかぶったり防寒着を着たり(ドーム内は0℃に保たれている)など見学準備をしていると、なんだかあたりがざわついている。何かと思ったら、今日は主鏡の洗浄日で、これから始まるところだと言う。ひぇ〜、なんつう幸運だ!!
すばるのようなデリケートな望遠鏡は、温度を一定に保つために観測中はドーム内に人を入れない。観測していない時は人が入れるが、望遠鏡は直立しているので、構造上見学者は主鏡を見ることができない。しかし、主鏡を洗浄する時は、望遠鏡が斜めになるので、8mの主鏡を拝むことができるのである。
というわけで、貴重な主鏡洗浄風景は、がっちりビデオに撮ってきた。
2007-04-05 |
すばる望遠鏡の主鏡洗浄 (00:23) うおおおおおお ↑人間の吐く息でも温 一年半以上前なのにこ |
何をやっているかと言うと、ボンベに詰めた二酸化炭素ガスを一気に主鏡に向かって放出しているところ。二酸化炭素は断熱膨張で冷えてドライアイスになるが、それが再度昇華するときに、鏡面についたゴミを一緒に弾き飛ばしてくれるという寸法である。主鏡に光を当ててみると、こんなに空気の澄んだ山頂にあるにもかかわらず、ビックリするほど埃がついているのがわかる。定期的に洗浄しないと使えなくなってしまうということだろう。いやはや、大変な話だ。
その後はキャットウォークを伝って、施設の隅から隅まで見学させていただく。各種観測装置から地下にある蒸着工場まで、見てないものはないんじゃないかと思うくらい、徹底した見学だった。まんぞく。
そうそう、事前学習と言うか、以前読んだプロジェクトリーダの小平さんの本がとても面白くてわかりやすかったので、すばるに興味を持った人には勧めておく(アサマシ)。
宇宙の果てまで―すばる大望遠鏡プロジェクト20年の軌跡 (ハヤカワ文庫NF)
早川書房
¥924
星空観望会
夜に観測しに上がってくる研究者のために16時までにハレポハクへ車を戻さなければならないということで、見学を終えたらすぐ下山。火星に別れを告げる。もちろん途中でちゃんと火星の通信基地SMAも網膜に焼き付けて。
ハレポハクではまたAstronomer's Mid-level Facilityに入って、休憩。このまま日没まで待って、星を見てから帰ろうという魂胆。まだ明るいので、施設が提供しているオープンな無線LANを使ってネットアクセスなど。ビデオはその場で編集してYouTubeとニコニコ動画にアップ。あと(これ重要)、Remember The Milkに書き留めてあった「すばる望遠鏡を見学する」タスクを「Done」に。ほらね、「いつかやるリスト」だって、ちゃんと達成されることがあるんだよ!
日が落ちる直前に、オニヅカ・ビジター・センターまで降りると、数10cmクラスの反射望遠鏡が何台も出されていて、星空観望会の準備中。まだ明るいうちから見ることができる金星や土星を狙っている。そうこうする間に日が落ちて、満天の星空になる。冬の天の川の中にオリオン座。あとは北斗七星くらいしかわからないけど(笑)、空気の澄んだ高台から見る夜空は、実に美しい。こんなの、高校時代にロッキーで見て以来か。
そうそう、昼間に見かけた、研究者とおぼしき金髪のねーちゃんが着ていたTシャツがあまりにカッコよくて気絶しそうになったんだけど、「それオニヅカで売ってますよ」ということなので、忘れずに買ってきた。マウナケアにある望遠鏡の主鏡を、スケールを合わせて並べたもの。これは良いものだ。マニアックすぎるけど。
しばらく星空を眺めたあとは、真っ暗闇の山道を猛スピードで駆け下りるというスリル満点のエンターテイメントで今日はおしまい。宿まで送ってもらって、メシも食わずにばったりと寝た。いやもう、満足を通り越して素晴らしい体験でしたよ。ガイド氏には心からお礼を申し上げたい。
う、うらやましい。。。。
私も2004年11月に行きました。月齢のことを考えずにツァーに参加しましたので、満月が輝くマウナケアでした。それでも☆星は冷たく輝いていましたね。もう一度行きたい気分です・
自分の名前の付いた星を持つ男をうらやましがらせることができて、本望ですよ(笑) >(ふ)
コナからツアーで登りました。
もうあれから3年か・・。
羨ましいなぁ。マウナケア山頂で夕日を見て、オニヅカビジターセンターのちょい上で望遠鏡で天体観測するツアーには行った事ありますけど、すばるの中に行ったなんて。
いいなぁ。
ほんと羨ましいですよ。
自分はマウナケア山にすら行ったこと
がありません。 はぁ〜・・・・・・
でも!いつか必ず行きますよ!
できれば、すばるの主鏡もみたいですね。