2006-09-22(金) [長年日記]
■ フェルマーの最終定理 (新潮文庫)(サイモン シン)
読み終わったときに、もっと前に読んでおくべきだったと悔やむ本は少ないが、本書はまさにそれだった。ベストセラーを避けて通る天の邪鬼も、たまには主張を曲げたほうがよさそうだ。
なんといっても、話運びが上手い。まさに上等なミステリーのそれで、ひとつひとつ事実を積上げて証明に近づいていくストーリーは、実に興奮する。そもそも数学とはそういうものなんだけど、それを改めて認識。
特に、谷山=志村予想とフェルマーの最終定理が結びつくシーンでは、思わずウルウル(本題の最終定理が証明されるのはわかっているので、結末には実はそんなに感動しない)。まるで関係のないと思われていた2つの事象が、カッチリ組み合わさるのを見るのは快感だね。数学に感情移入してしまったのは初めてだ。
というわけで、本書の面白さはネタよりも作者の力量に負うところがかなり大きいと思ったんだけど、となるとやっぱり『暗号解読』や『ビッグバン宇宙論』も読むべき?
■ 改訂新版 コンピュータの名著・古典100冊(石田 晴久)
えーと、本日発売? なぜかお鉢が回ってきたので、1ページのエッセイを書いた。単著もないのに!
届いた本を見てみたら、エッセイ陣だけでもそうそうたる顔ぶれで、かなり気後れする。まぁ、遠藤(諭)さんや結城さんと同じ媒体に載るチャンスはあまりなさそうなので、いい記念になったということにしておこう。結城さんとはネタもややかぶり気味だし(笑)。
前の版は買いそびれていたけど、今回は執筆したおかげで手に入ったので、一通り目を通して今後の読書の参考にしようと思う。インプレスはあまり技術書を出さないけど、この本の視点はいいよね。
えー?
ないないないない、絶対かぶってないって!
(時かけ風味)
たださんの文章に、なるほどって思っちゃったもの。
いやまぁ、「やや」で「気味」ですから、気分の問題で(^^;
たださんの文章が載っているのを知らずに買いましたが、目次で見つけて最初に読みました。ああいう味わいのある文章を書けたら良いなあと思います。はい。
サイモンシンさんの暗号解読はオススメですよ。
暗号の歴史、その時代背景について書かれています。
技術的なところはhyukiさんの暗号技術入門が分かりやすくてよかったです。
サイモン・シンは科学読み物を書かせたらマーティン・ガードナーに匹敵する天才です。「暗号解読」も燃えまくりますよ(スティブン・レヴィの「暗号化」とかニール・スティーブンソンの「クリプトノミコン」を合わせて読むとさらにヨイです)。