2005-10-28(金) [長年日記]
■ 午後からビッグサイト
WPC EXPOじゃなくて、こっちに来たんだよ。ホントだよ。
■ ハイブリッド―新種 (ハヤカワ文庫SF)(ロバート・J. ソウヤー)
問: 前作『ヒューマン-人類-』から今までの間に我々が得た重要な知見をひとつあげよ
答: それは「モヒカン族の発見」です
いやもう、読み始めてすぐこれに気づいてしまったときは、思わず「あっ」とか声を上げてしまったよ。つまり、このシリーズにおけるネアンデルタールたちは、まんまモヒカン族なんである。徹底した合理精神、問題解決には技術を持ってのぞむその姿勢、どこから見てもモヒカン族だ。なるほど、読んでいてネアンデルタール人社会にどうしようもなく惹かれるわけがわかったよ。
さらに作者はホモ・サピエンスのムラ人っぷりをわざと強調して描いているので、その対比はさらに明確になっている。典型的なムラ人であるジョック・クリーガーの描写はまさにそれ。結果的に、ネアンデルタール人描写にちっとも新鮮味がなくなってしまった上に、話の流れがたいへん読みやすくなってしまい、読書の面白さが減ってしまったのである。翻訳を待っている間に新しい科学的発見があって、設定自体が台無しになってしまうSFは少なくないが、まさかこっち方面から攻められるとは思いもしなかった。これはもう、otsuneさんに責任とってもらわないと!
もちろん、小説としての面白さは残るわけだが。前作で明かされた「人類存亡の危機」は、まさかという形で利用され、エピローグとあわせて、なかなか楽しく笑えるオチがつく。後半語られるかなりムチャなフェミニズム思想もそうだが、実はこれ、ソウヤーはギャグ小説として書いてたんじゃないかと勘ぐってしまう。モヒカン族はそのムーブメント自体が「ネタ」なわけで、そう考えると相乗効果を楽しめる余地もあるかもしれない。
こんな書評、Amazonにあげるわけにいかないよなぁ。でもあんなにいい加減な『銀河ヒッチハイク・ガイド 』の書評が「31人中、26人の方が、このレビューが参考になった」とか言ってる世界だし、ためしにこのままいってみる?
Security Solution 2005 のほう、何かいいの(または面白いもの)はありましたか?
私も行ったので感想をお聞きしてみたいです。
あんまり時間がなくてじっくり見られなかったんですが、あんまり目新しいものはなかったですねぇ。指紋認証の新しいアルゴリズムが面白かったかな(名称失念)。
ソウヤーはどうでもいいことを面白く書く(語る)天才だと思います。歴史に残るような傑作は無理だろうけど,何書いても面白い。