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ただのにっき


2012-04-18(水) [長年日記]

南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)(野尻 抱介)

遅ればせながら読了。これは二次創作だねぇ。いや、一次ソースが創作(フィクション)ではなく現実のいまの日本なのだから、1.5次創作くらい? もちろん悪い意味でなく、二次創作の体裁で書かれているところにこそ、この作品の価値があるわけだが。

ボーカロイドやニコニコ動画を始めとしたCGMにインスパイアされた「尻P」が、SF作家・野尻抱介として書いた短篇集というか、それぞれの話は時系列でつながっているのでオムニバス長編になるのか。タイトルにある「ピアピア動画」がまんまニコニコ動画を指しているだけでなく、登場するボーカロイドの小隅レイはもちろん初音ミクだし、ドワンゴの面々やニコ技も登場する。というかむしろ主役がニコ技。これらの背景を知らなくても普通のSF小説として楽しめるが(そこはさすがにプロの作家なわけで)、この極めてハイコンテクストな舞台設定は同時代にこれらのムーブメントをともに楽しんでいないと決して理解できない。そういう意味でもやはりこれは二次創作だ。

ところで、この作品のベースにある、なんでもかんでもオープンにしてしまう文化が世界を変容させていくという主題、我々プログラマはすでに体験済みなわけで、CGM文化はライセンス問題や企業との折り合いの付け方など、FOSSが直面してきた歴史をけっこう忠実になぞっている。となると、FOSSを題材にした類似のフィクションとしてチャールズ・ストロスの『アッチェレランド』なんかが思い浮かぶ。あっちは遠未来に向けて物語をすすめることで社会の変容を描いたわけだが、本作品は別の手段で(より希望に満ちた)未来を見せる*1

その「手段」がかなりオーソドックスなネタだったりするせいで、SFとしては「アッチェレランド」の方が面白いと思うけど、本作品の「S」はもう、「Science」の意味じゃなくてむしろ「Social」なんだよな。なんてことを、Amazonにあった本書の楽しみ方を見つけられなかった気の毒なSFファンの感想を読みながら考えたのであった。ただのSFとして読んだら損だよね。

南極点のピアピア動画 (ハヤカワ文庫JA)
野尻 抱介
早川書房
¥682

アッチェレランド (海外SFノヴェルズ)
チャールズ・ストロス
早川書房
¥3,881

*1 そうそう、「アッチェレランド」の解説が小飼弾、本書の解説がドワンゴ会長という対比も面白いかも知れない(笑)。

ナビスコ: 川崎 3-1 仙台@等々力陸上競技場

[写真]いつものS席から

相馬監督をとうとう解任して、望月監督代行になってから2試合目。ナビスコ杯仕様でメンバーは一部入れ替わっているとはいえ、相手は今季は「J1で一番強い」仙台である。監督代行も仙台出身だし、これはなかなかの好カード。

途中から實藤が退場処分をくらって10人になるわ、ジェシが負傷交代するわと、前節のリードしながら逆転負けした悪夢がよぎるが、全員で踏ん張って1失点にとどめたのはすごい。小林の「らしい」ゴールもひさびさに決まったし、あれ、もしかしておれら等々力で初勝利観戦か? いやめでたい。このまま望月監督でいいんじゃね?

Tags: frontale
本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
hs (2012-04-19(木) 12:03)

ご存知かもしれませんが、著者本人による解説が4/12付けで公開されています。http://d.hatena.ne.jp/nojiri_h/20120412/1334207202 今の現実世界にも言及されていて個人的には興味深かったです。

ただただし (2012-04-19(木) 12:28)

もちろん読んでますよ~。向こうにもリンクがありますが、さらなる二次創作(本稿の表現を敷衍するなら三次創作ないし2.5次創作)として付け加えるなら、(ドワンゴ会長とは別人という設定の)@kawango氏による返歌ですかね:-)
http://kawango.hatenablog.com/entry/2012/04/15/195117


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