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ただのにっき


2021-08-30(月) [長年日記]

スマホからCOCOAをアンインストールした

[スクリーンショット]2020年6月19日から438日間使用中

あいかわらずスマホのストレージがパンパンなのにいい感じの次期主力戦闘機が決まらず困っている状況なので、いらないアプリは見つけ次第消すことにしているのだけど、今日はCOCOAこと「新型コロナウイルス接触確認アプリ」を削除した。

ワクチン2回目の接種から今日でちょうど2週間たって(いわゆる「フルチン」状態)、まだ感染対策は継続するものの、感染そのものを極度に怖がる必要はもうなさそうというのがある。仮に感染した側になっても、もう保健所もCOCOAを利用してないなんて話もあるし。

そもそも、COCOA側がもうまったくアップデートされなくなってしまい、デルタ株の感染力を考慮した「接触の再定義」が必要なのにそれもないときては、もうアプリの存在価値そのものがなくなったと判断していいだろう。

唯一の心配はCOCOAのインストールを前提としたリアルイベントの存在だけど、そういうのもそろそろワクチン接種の有無を判断基準にするようになるだろうしね。


根拠がよくわからんみたいなコメントをいくつかもらったので、少し補足しておくことにした。まぁだいぶ端折って書いたのは確かだ。あと面倒なのでソースは貼らない(のちほど気が向いたら貼るが、オーダーさえ合ってればいいので細かい数字を議論する意味はない)。

まず、COCOAの「接触」の定義は、感染者と1m以内に15分間いっしょにいることである。COCOAの狙いは、これで濃厚接触者をあぶりだして保健所に連絡させ、PCR検査率を向上させたり、感染経路の特定をするところにあった。1年前ならこれで良い。十分に大勢の国民がCOCOAをインストールすれば、クラスタ発生を確実に押さえる武器になっただろう。

しかし現在、状況は大きく変化している。

1つはもちろん、感染力強いデルタ株の台頭だ。新型コロナウィルスの感染パターンの研究も進んで、エアロゾルによる(事実上の)空気感染があることわかった以上、「1m、15分」ではまったく足りない。仮に「3m、5分」にしよう*1。これで面積にして9倍、時間にして3倍の時空が「接触」の範疇になった。ざっと30倍。市中感染が当たり前の昨今では、このエリアに入ってくる感染者は30倍ではまったく効かないだろう。毎日報告されている感染者数を加味すると、さらに10倍くらいになるはずだ。

この時点でCOCOAの有効性はだいぶ怪しい。ようするに、いまのCOCOAは1年前と比べて網の目の大きさが300倍のザルになっている(300人の感染者と接触しても1人しか報告してくれない)。これに加えて、ワクチン接種が進んだことも大きな変化だ。

ワクチンを接種しても感染そのものを防ぐ効果は限定的とされているが、2回接種すると仮に感染しても無症状の割合が高くなる。検査にひっかかった内の無症状者が50%という報告もあるが、そもそも無症状者は検査を受けないので、割合はそれどころではない。人口の半数近くが接種済みの現在、報告されている感染者数を超える人数の無症状者がいると考えて良い(ザルCOCOAの網の目がさらに倍くらいになった)。

このように性能面で数百分の一になっているCOCOAは、そもそも期待していた性能を発揮できるだけのインストール数すら稼げていないので、さらに効果は落ちる。トータルでざっくり1/1000くらいのオーダーで期待外れになっているといえよう。3桁落ちの性能のソフトウェア、入れておく価値がある? ないね。こちとら数十MBだって惜しいくらいにカツカツなんだ(笑)。

このようにCOCOAからの通知に期待や恐怖を抱く必要性はもはやない。仮に通知がきたとしても、それまでにも1000人の感染者と「接触」してるんだと思えば、些細な話だ。通知の有無と関係なく任意でPCR検査を受けても、結果に違いはないだろう。

一方、自分がなんらかのタイミングで感染者だと判明した場合はCOCOAに報告する価値はあるかも知れない? いや、それすらも今は無価値だ。自分の報告は、されなかった報告に埋もれて見えなくなる程度のノイズにすぎなくなっている。保健所もそんなことは先刻承知だろう。

*1 ショッピングモールですれ違っただけで感染したなんて事例もあるので、本当は1分にしたいところだが、スマホが提供するセンサーの解像度が最小5分なのでしょうがない。


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