2018-10-10(水) [長年日記]
■ 映画「若おかみは小学生!」を観てきた
なんかめちゃくちゃ評判がいいのでいてもたってもいられず、仕事を早めにあがって観てきた。いちおう子供向けアニメながらあまりに大人からの評価が高いため、いま新宿バルト9では深夜まで一番大きなスクリーンを使っていて、しかもけっこうな入りらしい。夕方の新百合ヶ丘はスカスカでしたが(笑)。
冒頭の神楽のシーンからもう引き込まれる。細やかな鈴の動き、カメラワークの妙。けっして細かい絵柄ではない、むしろ省略の多いすっきりした絵なのに、動きの付け方がすごい。「これはヤバいアニメーションだ」と居住まいを正す。背景の描き込みも驚異的だ。ジブリ放出人材が各所で活躍中って話は聞くけど、こういうことか。
アニメーションに関して驚くのは、主人公の「おっこ」がかわいいのである。主人公がかわいいのはあたりまえだろと思われるかも知れないが、キービジュアルを見ればわかるように、おっこのキャラデザは(現代的観点では)いまいちだ。切れ目をいれただけの半球状の髪はまるでヘルメットだし、楕円形のどんぐり眼は線だけの眉とあいまって特徴がない。典型的な児童文学向けキャラクタ。これがまぁ、動画になるとめっちゃ生き生きしててかわいいのよ。動画と静止画でこんなに落差があるのは初めて見たし、びっくりした。これがアニメーションの力か。身長の増加に体重が追いついていない、小学校高学年らしいひょろっとした体型もあいまって、おっこの存在感はほんとうに素晴らしい。
事故で両親をなくしたばかりのおっこが、祖母の経営する温泉旅館で若おかみになる修行をする……というストーリー。癖のある客や同級生、宿の使用人たち、それから幽霊たちとの交流を通した、90分に詰め込むにはかなり多いはずの登場人物とエピソードが、まったく無理なく収まっているまるで魔法のようなシナリオだ。省略が上手くてメリハリが効いてるんだなぁ。しかも亡くした両親にかかわるヘビーなエピーソードも多い。いやこれ、子供より大人に響くでしょ。というかじっさい響いてるわけだが。
とにかくまー、素敵な映画体験だった。評判が評判を呼んで上映館が続々と増えてるそうだけど、ほんと大勢に観て欲しい作品ですなぁ。