2017-11-22(水) [長年日記]
■ 冒険エレキテ島(2) (KCデラックス)(鶴田 謙二)
1巻が出たときの日記に『過去の実績からして「2」はないんだろうなぁ』と書いておりますが、嘘だろ、出たよ。しかも6年ごしで。帯に『鶴田謙二初、「2巻」出た!』って書いてあって、出版サイドもまさか出せるとは思ってなかったっぽいのがすごい。
タイトルに「冒険」と入っているが、実のところ冒険なんてほぼなくて、というかストーリーすらほとんどなくて、主人公の「みくら」が薄着で島をウロウロするシーンがこれでもかって続くだけの「モノクロイラスト集」という解釈が正しい。
基本的に鶴田謙二は、風呂敷を取り出すのは好きだが広げるのはめっぽう下手で、畳む気などさらさらない作家である。にもかかわらず、稀に出る作品を買い求めてしまうのは、視覚を刺激し、官能を震わせるその描線に魅せられてしまったからだ。ストーリーとかいらんのよ。ドラッグみたいなものだからさ、これ。
6年かけてこれしか進まない話を、次の6年でなんとかできるとはとうてい考えられないので、当然ながら「3」はない。Amazonのレビューでも誰も続きが出るとは信じてない。そういう作家の作品である。それでいいのである。
冒険エレキテ島(1) (KCデラックス)
講談社
¥1,026
冒険エレキテ島(2) (KCデラックス)
講談社
¥1,034
そういえば、これを予約しようとしてAmazonにアクセスしたら、少し前に別の本が出ていたことを知り(あいかわらずAmazonのレコメンデーションエンジンは出来が悪い)、もちろん一緒に購入した:
復刊ドットコムから出た、大判、ハードカバーの贅沢本。とはいえこれもひどい商品で、薄っぺらい紙に見開きカラーイラストを載せて、同じイラストのモノトーン版にポエムを載っけてページ数を稼いだだけのシロモノ。客観的には「うわー、こんなものに3000円の値札付けて売っちゃうんだ」って思うよ。
なんでそんなものを買うんだと聞かれても、理由は上に書いたとおりである。幻の作品が手元に残るんだよ、買うに決まってんだろ、バカめ。