2017-03-30(木) [長年日記]
■ 「けものフレンズ」が終わっちゃった
今期アニメ最大の話題作「けものフレンズ」が最終回を迎えた。アニメはもっぱらニコ動でみる勢だが、さすがに最終回は地上波でみないとTwitterでネタバレを食らうのは必至だったから、録画して一昨日の朝には観ていた。が、いちおう配信が終わった今日の日記に書く。もうネタバレ書いてもいいだろう。
ニコ動では2話以降有料ということだったから「面白そうならあとから見る」というクラスに置いていたものの、過去にそういう作品をあとから追いかける羽目になったためしはなかった。だから途中から界隈が急に盛り上がってきたときにはびっくりしたけど、すぐに「入園料」を払って追いついた。こんなに次回が楽しみなアニメは「シンデレラガールズ」以来だったなぁ。
多面的に楽しめる作品だったけど、自分が惹かれたのはやっぱり練りに練られたストーリーかなぁ。設定はけっこう穴だらけなのにあまり気にならなかったのは、とにかくストーリーがまっとうで丁寧で緻密だったからだろう。キャラがそれぞれの動機に従って行動していて、制作サイドに都合のいいだけの「駒」がいないから、どのエピソードも全部納得できる。最近、こういう作品は少ないんだ。自分は整合性の取れた話が好きだと思っていたけど、キャラが自律していれば多少の不整合には目をつぶれるという発見ができたのが収穫だ(笑)。
最終回は全員集合のシーンで最高に盛り上がったのはもちろんだけど、個人的に一番好きなのはそのあとの紙飛行機のカット。一話でかばんに折ってもらった紙飛行機を、旅のあいだずーっと大事に持ち歩いていたから少しヨレているんだなぁとか*1、サーバルは火をつけるのにどれだけ勇気を振り絞ったんだろうとか想像すると、ぶわっとくる。こういう、キャラに寄り添った想像が至極自然にできるところがすごく好き。
周辺でとくに目に入ったのはSFクラスタの盛り上がりだけど、個人的にはそこはあまり刺さらなかったかな。というのも、けもフレは子供のころによく読んだ、遺跡探検を題材にした冒険SFをかなり忠実にモチーフとしているようにみえるからだ。
- 異星に降り立った人類の調査隊に古代遺跡が突然めざめる
- 原住民とともに探検し、立ちふさがる危機を人類ならではの知恵で解決
- 最終的に遺跡を建造したのは人類の遠い祖先だと判明する
……みたいなプロットの話は、具体的な作品名が思い出せないくらいに量産されていた記憶がある。たいてい、恥ずかしげもなく人類礼賛的な落とし方をする。
そういえば本来の性質を残して知性化された動物ってモチーフも少なくないけど、最近(といってもだいぶ前)で思い浮かぶのはブリンの「知性化戦争」シリーズで、そういえばこれも人類礼賛だった。あのシリーズでは人類と動物たちの間には厳格な主従関係があったけど、けもフレではヒトと動物は対等で、このへんが彼我の違いっぽくて面白い。おかげでけもフレは安直な人類礼賛に陥らずに済んでいる、のかも。
ちなみに定番だからダメと言いたいわけじゃなく、こういうオーソドックスなオールドファッションSFって、最近ではあまり接する機会がないと思うし、そんな「定番SF」に若い人たちが触れて、喜んでくれるのは嬉しいよ。現代的で何重にもひねった作品もいいけどさ、こういうシンプルに楽しいSFが出てくるのはいいことだ。
ラストシーンにうっすら「つづく」と入れてみたりして二期を匂わす終わり方である一方、直後の発表では明確にそう謳っているわけでもなく、加えて特定配信チャンネルの独占で何かやるような話も出ていてちょっと不穏な感じもあるけど、はてさて、どうなりますやら。こういう作品でチャンネルを絞るのは本当に馬鹿げていると思うので*2、続きは地上波か劇場版という流れだったらいいなぁ。