2015-08-09(日) [長年日記]
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神々の歩法 -Sogen SF Short Story Prize Edition- 創元SF短編賞受賞作(宮澤 伊織)
最近ぜんぜん本を読めなくなってしまって、まぁいろいろ原因はあるのだけど、短編だったらさっくり読めるからリハビリにいいかなと思ってKindleで買ってみた。これはいわゆる「Kindle Single」ではないのかな。短編とはいえ一作100円未満というのはリーズナブルすぎてなんか申し訳ない。
創元SF短編賞に応募してきた(ラノベで実績のある)プロの作家の作品という背景を知らずとも、ちゃんとこなれた短編SFで、普通に面白かった。佳作。
短編だから中身についてはあんまり書けないけど、表紙にあるアーマーを着た人たちはあまり目立った活躍はしないのが拍子抜けではあるが、かといって完全な脇役でもない重要な役柄である。タイトルにある「歩法」はダンスのことだとわかるけど、あんまりこれについての描写がなかったのが残念かなー。神々の異質さをこれで表現すればよかったのに。
あと本題とは関係ないけど、Kindleには読者がハイライトしたところを共有する機能があるのだけど、本文中の「日本の商業アニメは生産体制の崩壊でほぼ全滅したが、今ではハリウッドと台湾から大量に供給されていた」という部分を大勢がハイライトしていて笑ってしまった。まったくおまえらときたら。
神々の歩法 -Sogen SF Short Story Prize Edition- 創元SF短編賞受賞作
東京創元社
¥99
2015-08-08(土) [長年日記]
■ 映画「Inside Out」を観てきた
マッドマックス観ようと思ったらもう近所で上映してる館がなくて、代わりにこちらを観てきた(代わりとは……)。最近、なにげにディズニー・アニメをよく観てる気がしてきた。なお、例によって原題の意味を完全に損ねる邦題については触れる気も起きない。
作品自体はとてもよく出来ていた。ピクサーの3DCGはもうほぼ完成の域に達していて、肌の質感、髪のさらさら具合など、よくぞまぁここまでというクオリティ。頭の中の感情たちも、それぞれに適したテクスチャが選ばれていて、雰囲気たっぷりだ。ストーリーも子供には少し難しいんじゃないかというレベルで、タイトルの「Inside Out」という意味を何重にも考えさせられる。もしかして自意識はあるのかどうかなんて脳科学的な話題にもつながってたりして?(ないか) 吹き替えしか選択肢がなかったけど、声優陣も悪くない。とくに大竹しのぶはさすが。
ただ映画館で観るのはまったくおすすめできないので、レンタルなど観たくないところを自由にスキップできるメディアが出るのを待った方がいい。
というのも(すでに方々で怒りとともに触れられているが)、冒頭にフルコーラスのドリカムの歌に載せて延々と意味不明映像を見せられるからだ。いや、いちおう歌詞は映画の主人公ライリーについてのものだし、映像に使われている写真は喜怒哀楽の表情をした人々なので、いちおう映画のテーマに沿っているのだろう。だが擁護できるのはここまで。素人写真を適当に並べただけのスライドショー、それもほとんど日本人しか出てこないからバリエーションに乏しくてのっぺりした印象しかない。ときおり映画のキャラが登場するがとくに意味のある動きをするでもない。とにかく、駆け出しのユーチューバーだってもっとマシな映像を作るだろ、というレベルのひどい動画で、これを金払って映画館に足を運んできた客に強制的に見せるとか、犯罪だよ。
おまけに(ピクサー作品のお約束として)本編の前には無関係なショートムービーが挟まるので*1、本編とのつながりすら途切れてしまうわけで、もう意味不明を通り越してる。まだ本編を観てないから席を立つわけにもいかず、この数分間はまさに拷問だった。
たぶんドリカムは悪くない、オーダーどおりに楽曲提供しただけだと思う*2。しかし、この企画を立案したヤツと承認したヤツは、二度と映画産業にタッチしないでいただきたい。あと邦題つけたヤツもな!