2015-06-24(水) [長年日記]
■ 「エンジニアのための法律勉強会#5」へ行ってきた
受託をやってる人たちの勉強会なのかなー、と思っていた「エンジニアのための法律勉強会」が、今回は『OSSのライセンスと、コンテンツやソースコードの著作権』というテーマだったので申し込んでみた。場所は茅場町のCO-EDOというコワーキングスペース。初めて。
講師は『知る、読む、使う! オープンソースライセンス』でおなじみの可知さんと、この勉強会の講師役(?)である弁護士の野島さん。野島さんのしゃべり方がすごく「想像上の弁護士」っぽくて面白かった(なんだそれ)。
内容的には可知さんの著作にあるようなOSSライセンスをとりまく話題に、野島さんが専門家として解説をかぶせてくるという感じで、すでに知ってる話題もありつつ想定外の話題もありでなかなか勉強になった。
とくに「OSSライセンスは契約か否か」という話は良かったな。最近、ライセンスを契約ととらえて(つまり不用意に使うととても危険なシロモノとして扱う)、OSSコミュニティへの参加を非常に限定的にしたがる人たちとバトルしたことがあって、ちょうどこのあたりがもやもやしていたのだ。
じっさい法律家からみると双方の合意がないんだから厳密には契約でも約款でもない、せいぜい裁判で一種の「抗弁」として使われるくらいのものではないかという解釈なんだとか。もちろん契約に準ずるという意見もあるそうだけど、OSSにまつわる裁判がなかった日本では判例もない状況で、結論は出ていないとか。面白いねぇ。これを契約と信じて過剰に防衛的なガイドラインなんか作っちゃうと、ビジネス的にデメリットになるってことじゃなかろうか。トークの中でも「許可を取るな、謝罪せよ」の話が出ていたけど、まさにそれだ。
というわけで、判例つくるためにもバンバン使ってどんどん裁判起こせみたいなニュアンスのことを言われたような気もするが(笑)、まぁ日本人は裁判嫌いだからなぁ。しないで済むならそっちで済まそうと考える人たちが多いと、なかなか理解が進まなそうではある。オープンソースという言葉が生まれてから何年たつんだよって話だが。
ところで平日夜の勉強会ではいつも思うんだけど、ほんの2、3時間程度しか使えない以上、もうちょっと参加者に前提知識を求めてもいいんじゃないかと思うんだよなー。
今回の話だって「可知さんの著作は読んでおけ」って宿題にしておくだけで(PDFでたった150ページだ)、ずっと濃い話をできたと思うし。詳しい人の話を、持ち時間いっぱいにつかっても浅いところしか話してもらえないの、ほんとうにもったいないと思う。続きは懇親会でと言われても、自分のように家が遠くて翌朝に影響でないように早めに帰らないといけない人は途中で切り上げなくちゃいけなくてつらい。
前提知識のある勉強会について @koyhoge との対話を貼っておく。
https://twitter.com/koyhoge/status/613962219634569217
どうも、想像上の弁護士っぽかった!!(爆笑)野島でございます。お楽しみいただけたようで何よりです。厳密に申しますと、OSSライセンスは、黙示の合意がある以上契約である、と裁判所によって判断される可能性も十分あり、しかし、そうではない、と解釈される可能性も十分あり、何とも言えないけれど、一つの抗弁として、裁判を闘う上で機能するであろうことは十分に予想される、ということでございます。お時間あえば、ぜひまたお越しくださいませ。失礼いたしました。
先日は、ご来場いただき、ありがとうございました。ライセンスは契約か否かについて、こちらで整理しております。ご参考になれば幸いです。
ライセンスとは何か、整理してみた | オープンソース・ライセンスの談話室
http://www.catch.jp/oss-license/2015/06/27/license-2/
> 野島さん
あ、なんか失礼な書き方してすみませんでした。また機会があればぜひ参加してみます。
> catchさん
すごい大作! これはのちのちまで参照できるよい資料ですね。