2015-02-10(火) [長年日記]
■ オリンパスのOPCがぜんぜんオープンじゃなくてがっくり
数日前に「アプリで楽しむ一眼画質、オープンプラットフォームカメラ「OLYMPUS AIR A01」を発売」というオリンパスのニュースリリースを読んで、マイクロフォーサーズのユーザとしては待ちに待った製品の登場だ! と色めきたった。思えば昨年のRubyKaigi 2014でSONYのデジカメにはAPIがあってネットワーク越しに操作できるという話を聞いて、かなり羨ましかったからだ。同じことがオリンパスのカメラでできるなら願ったりだ。しかも手持ちの交換レンズが使えるわけだし!
で、さっそくOPCプロジェクトのサイトからSDKをダウンロードして、マニュアルを読んで愕然としてしまった。iOSとAndroid用のバイナリとリファレンスしか入ってないの。FAQにも書いてあったけど、PCから制御するためのSDKは提供しておりませんだって。えー!?
これみよがしに「オープンプラットフォーム」なんて書いてあるから、当然RESTfulな Web APIがあるもんだと思ってたよ。先行するSONYのAPIが、いちいちそんなこと書いてなくてもちゃんとJSON-RPCなリファレンスマニュアルを公開しているのと比べて、なにこの腰の引け具合。おまけにSDKをダウンロードするだけなのにメールアドレスまで聞いてくるし(SONYは【もちろん】聞いてこない)。
リバースエンジニアリングを禁止してるから、事実上スマホからブラックボックスなAPI経由で操作するしかないわけで、こんなレベルで堂々と「Hack」とか書かないで欲しいわ。あー、心底がっかりした。いっそカメラもSONYに乗り換えちゃおうかしら。
2015-02-07(土) [長年日記]
■ Heroku上のtDiaryを運用する
さて、インストールができてデータ移行もできたら、次は運用である。運用つっても多岐にわたるけど、とりあえずはシステムのアップデートとバックアップができればいいだろう。
tDiaryのアップデート
追記: 本記事を書いたときはHeroku専用ブランチである「herokuブランチ」を利用してたが、最新版では「masterブランチ」を使えるようになっているので書き換えた。スクリーンショットは「heroku」のままなので読み替えてほしい。
Herokuボタンでできるのは初期インストールまでで、その後のアップデートまではサポートしてくれない。HerokuにはGitHub連携機能があって、指定したGitHubリポジトリの更新をフックして自動的にデプロイしてくれるんだけど、これ自分のリポジトリじゃないとダメなので、tDiaryの公式リポジトリを監視しておくわけにはいかない。
というわけで、うまいことやるためにちょっとひと工夫することにした。少し内部に踏み込んで説明するとこんな感じ:
- 公式リポジトリのforkを自分のリポジトリに作る
- そのリポジトリでGitHub連携を有効にする
- 任意のタイミングで公式リポジトリの差分を自分のリポジトリへのPull Request (PR)にする
- そのPRをマージするとGitHub連携が動いてシステムが更新される
3と4が実際のアップデート手順になるんだけど、やってみるとけっこう面倒な上に間違えそうなので、この部分をtDiaryのプラグインにして、設定画面でポチっとやるだけで済むようにした。
ではその手順。まずはtDiaryの公式リポジトリへアクセスして、右上にある「Fork」ボタンをクリック。これで自分のアカウントにコピーができる。
続いて、この「自分のID/tdiary-core」という名前のリポジトリをHerokuに監視してもらう。Herokuにアクセスして、Herokuボタンで作ったtDiaryアプリの設定へ。「Deploy」タブをクリックすると「Heroku Git」「GitHub」「Dropbox」が並んでいるので、中央の「GitHub」をクリック:
一番下に「Connect to GitHub」ボタンが出るのでクリックすると、GitHubのIDとリポジトリを選択する場面になるので、自分のIDと「tdiary-core」を選んで認証する。と、Automatic deploysとManual deployという項目が現れる:
Automatic deploysの方の設定を先にしておく。ドロップボックスからmasterブランチを選択してから「Enable Automatic Deploys」ボタンを押せば設定完了。
これだけでは何も起こらないので、続いてまずは手動でアップデートする。Manual deployの横にあるブランチの選択を「master」にしてから「Deploy Branch」ボタンをクリック。あとはデプロイが進んでいくのを眺めていればよい。
これでtDiaryが最新版になったので、tDiaryの設定に移り、プラグイン選択へ。新たに「system_update.rb」が増えているはずなので、これを有効にすると「基本」の中に「システム更新」が増えている。これをクリック:
GitHub access tokenとGitHub user nameの2つを入力する。access tokenはGitHub SettingsのApplicationsで生成できる。「Personal access tokens」から「Genrate new token」で40文字の英数字列ができるのでそれをコピーすればOK。
ようやく各種設定が終わったぞ、ぜえぜえ。あとは「システムを更新」のチェックボックスを入れてから「OK」を押すと、さきほど書いた手順が裏で走って、forkした自分のリポジトリが公式リポジトリに同期する。……とはいえさっき最新にしたばかりなので、いまは何も起こらない。tDiaryの最新版がリリースされたタイミングで実行してみて欲しい。
テストで何度かやってみたけどさ、なんつーか、ボタン押すだけでシステムが最新になるの、まるでWindows Updateならぬ「tDiary Update」て感じで、自分で作って自分で感動してしまったよ(笑)。すごいのはHerokuとGitHubなんだけど。
バックアップ
最後はバックアップ。Herokuで動作しているtDiaryは、残しておくべきデータをすべてMongoDBに入れているので、これをダンプすればバックアップになる。
Herokuのアプリ管理画面からResourceに入り、MongoLabをクリックするとDB管理ページになる:
「Backup」という文字が見えるのでクリックすると、バックアップの方法を選べる説明が出てくる(が、これは有料。でもone-timeは安いのでこれ使うのもいいと思う)。自力でバックアップを取りたいひとは「Tools」をクリックするとコマンドラインからMongoDBのバックアップ/リストアをする方法が読めるのでそれを使いましょう。ちなみにtDiary.Netではデイリーで過去3日分のバックアップをとってる。
というわけで、日記を運用するにはこれで十分かな。Enjoy!
2015-02-06(金) [長年日記]
■ Heroku上のtDiaryへデータを移行する
ブラウザでポチポチするだけでHeroku上にtDiaryをデプロイできるようになったわけだが、従来からレンタルサーバ的な場所でtDiaryを運用していた人にとってはデータを移行できなければ意味がないだろう。これもいちおうできるようになっている。が、さすがにこれをブラウザだけでやるのは難しいので、unix系システム上でコマンドラインを使うことになる。まぁ、現時点でtDiaryを運用してる人はそういう環境にはそんなに困らない……はず。
必要なコマンドは ruby、git、bundler。それぞれ最新のものをご用意下さい。また、同一ホスト上に既存のtDiaryのデータ(@data_path配下)が揃っている必要があります。
まずは GitHubからtdiary-coreを入手してherokuブランチへ:
% git clone http://github.com/tdiary/tdiary-core.git % cd tdiary-core % git checkout heroku
bundlerで必要なパッケージを入手すると、tdiary-mongodb-convertコマンドが使えるようになる(←今回使いたいのはコレ):
% bundle install --path vendor/bundle (←けっこう時間かかる) % bundle exec tdiary-mongodb-convert Usage: tdiary-mongodb-convert [options] <data_path> -c, --conf=CONF store only tdiary.conf -s, --style=STYLE style path -m, --mongo=URL URL of mongoDB
tdiary-mongodb-convertはtDiaryのデフォルト形式(テキスト)のデータを、MongoDBにアップロードするコマンド。アップロードをするにあたって、現在Herokuで使っているMongoDBの接続先情報を得ておく*1。ブラウザでHerokuを開いて、前回作成したアプリの「Settings」をクリック:
「Config Variables」にある「Reveal Config Vars」をクリックするといろんなプラグインの設定が出てくるので、「MONGOLAB_URI」の値(mongodb:で始まってる長い文字列)を控えておく。
さて、まずはtDiaryの設定をアップロードする。@data_pathの下にある方のtdiary.conf。これを-cオプションに指定する:
% bundle exec tdiary-mongodb-convert -c 【@data_pathのパス】/tdiary.conf -m 【先ほど控えたmongoDBのパス】 : :
ちゃんとアップロードできたかどうかは、HerokuのResourcesタブからMongoLabに飛ぶとconfというCollectionがあることで確認できる。なお、現在使っているものをそのままアップロードすると日記の編集などでエラーになる場合がある。その場合はtdiary.confをエディタで開いて、@base_urlやCSRF関連の設定を削除してからやり直すと良い(このへんはバッドノウハウなのでなんとかしたいところ)。
続いてデータ本体をアップロードする:
% bundle exec tdiary-mongodb-convert -s ./lib/tdiary/style -m 【先ほど控えたmongoDBのパス】 【@data_pathのパス】 : :
長年日記をつけてる場合はここでけっこうな時間がかかるので、のんびり待とう。これでデータのアップロードは完了したはず。サイトにアクセスして、プラグインまわりのチェックをしましょう。
この「けっこうな時間」の部分、ネットワーク越しにアメリカにあるDBサーバとやりとりしてるせいなので、実はローカルにMongoDBを立ててそこに向けてアップロードすればかなり短縮できる(対Herokuで5分かかったデータがローカル相手だと数秒で済んだ)。あとはmongoexport / mongoimportコマンドでHerokuの方に移せば良い。後述するカテゴリの問題もこれで解決できる。
それから、DBに入るのは日記の本文だけなので、imageプラグインによる画像は元環境に残ったままだ。これをどうするかはけっこうな問題なんだけど、ある程度の期間運用してきた日記の場合はHerokuに送る量じゃないので、別の方法で解決しないといけない。今後つける日記ではオンライン写真サービスを使うことで代替できるのだけど(個人的なオススメはpicasaプラグイン。あとはたぶんflickrプラグインも使えるんじゃないかな)、過去の分はどっかに置いて、リンクを貼り直さないといけない。tDiary.Netではこんなプラグインを書いて、(imageプラグインの指定はそのままで)旧サーバにある画像を指すように書き換えている*2。
で、さきほど触れたカテゴリの問題だけど、移転先にはカテゴリインデックスがない。ので、カテゴリプラグインの設定画面から再作成をすればいいのだけど、これもまた時間がかかる上に、Herokuは30秒でタイムアウトしてしまうので、ブラウザからはエラーに見えるのだ。ただ、処理自体は動き続けているはずなので、Herokuに処理を殺されないようにたまにアクセスしながら待つと良い。MongoLabのpluginコレクションが従来のカテゴリの数くらいになれば完了だ。もちろん、いったんローカルで動かせる場合は、こっちで再作成してからDBをコピーするのが快適だ。
*1 herokuコマンドを使い慣れている人は「heroku config:get MONGOLAB_URI -a アプリ名」を実行してもよい。
*2 ちょっと改造すれば他の環境でも使えるはず。旧imageと併用できないことに注意。
◆ aroma [>PCから制御するためのSDKは提供しておりませんだって。えー!? えーと、この件についてですがね・・・ h..]
◆ ただただし [まぁ、そりゃそうですよねw 期待薄目で待ってます~。情報ありがとうございました!]