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ただのにっき


2014-05-30(金) [長年日記]

量子怪盗 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)(ハンヌ・ライアニエミ)

第六ポンプ」を読み終えたときに(こっちはma2さんに)勧められたので次はこれ。

のっけからエネルギー保存則を無視したお手軽ナノテクが投入されまくるので、頭をファンタジー/スペオペ脳に切り替え。解説によれば著者は物理学者かつ数学者らしいので、これはわざとなんだろう。しかし読み進めるとこういうちょっとした「こだわり」のなさがいちいちひっかかる。

白い棒状のものに火を付けて臭い煙をまきちらす「タバコ」。遠目にも手に持ったそれがなんだかわかるような「新聞」。量子コンピュータがあるのに信用されている「公開鍵暗号」。シンギュラリティ後の遠未来ということらしいが、文化や人物がどうにもこうにも現代くさすぎる。スタイリッシュさを優先していろいろ整合性が犠牲になってる。スペオペ読むのにこういうところに引っかかってたら負けだよなーと思いつつ、これってアニメの「COWBOY BEBOP」に感じてたもやもやに似てるなぁと思い出す。

そういうところが気にならない向きなら、スピード感あり、ガジェットも魅力的ないい感じのスペオペだと思う。アルセーヌ・ルパンやシャーロック・ホームズへのオマージュも満載で、ミステリとして読むのは難があるものの、ピカレスクロマンとしてはいい出来ではないか。

(ここまでストーリーに関する記述なし ←すでに記憶があやふやらしい)

新★ハヤカワSFシリーズの単行本で読んだけど(例によって積読してあったせいで)すでに文庫化している(し、Kindle化もしている)。表紙はだいぶひどい感じになってるな:

量子怪盗 (ハヤカワ文庫SF)
ハンヌ ライアニエミ
早川書房
¥39

Tags: sf book

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