2014-05-17(土) [長年日記]
■ 言語都市 (新★ハヤカワ・SF・シリーズ)(チャイナ・ミエヴィル)
3月に『第六ポンプ』を読み終えて、次に何を読もうかと悩んでいたらartonさんにこれを勧められたのだった*1。傑作だー。面白かった!!
SF作家の何割かはいつか独自の言語を編み出してやるろうと画策してるんじゃないかと思うのだけど*2、本作に登場する異星の言語は、向こうが言ってることは翻訳可能なのにこっちが話しても理解してもらえない、その上コンピュータのサポートも不可能という、かなり突拍子もないシロモノで、「ありえねーだろー」と思いつつも『都市と都市』と同様、読んでるうちにだんだんあり得そうに思えてくるあたりが、ミエヴィルの力量というか。
(以下、ちょいネタバレぎみ)
そんな奇怪な言語を通したコミュニケーションに、突如「兵器」が投入されて、なんとかうまく回っていた世界が崩壊し始めるという話で、この「兵器」を無効化するにあたって、異星人と人類がまったく新しいコミュニケーションを編み出すあたりがもう鳥肌もんの展開なわけです。
……と、読み終えて満足気に本を閉じてから、これどっかで読んだことあるなぁと思った。ああそうだ『奇跡の人』だ(笑)。なんだ、そうか、そういうことか。いやだからといって本書の価値が減ずるわけではないのだけど、異様な姿の異星人とヘレン・ケラーを重ねあわせて思わずくすりと笑ってしまった。
リンク先の「奇跡の人」はサリバン視点じゃなくてケラーの自伝なので適切ではないっぽい。あとで修正する。
……と思ったけどまぁいいか。