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ただのにっき


2013-11-21(木) [長年日記]

「第5の戦場」 サイバー戦の脅威(祥伝社新書266)(伊東 寛)

プログラミングを始めてすぐにフリーソフトウェアに関わり始めたこともあり、インターネットで国境を感じることはほとんどなくて*1、それが当たり前だと思っていた。それが去年からサイバー・セキュリティ関係の仕事につくようになって、国境がなかったはずのインターネット上にわざわざ国境のある世界を重ねてまで戦争をしたがる人たちがいることがわかってきた*2。いやまぁ、知ってたけどショックだよね。

そんなこともあってサイバー戦争についていろいろ調べるようになり、こないだの越後湯沢でもサイバー戦争の車座会議に出てみたりしている。本書はその会議で座長だったLACの伊東さんが昨年出版したもので、サイバー戦に関して簡素にして網羅的な、一般向けの解説書である。

出版後の世間の動きはタリンマニュアルが出たことやサイバー防衛隊の話が進んだくらいで大きくは変わっていないのでいま読んでも特にアップデートの必要を感じない。さすがに一般向けの新書なので知らないことはほとんど書かれていなかったけど、(国境のある)インターネットって今こんなにヤバい状況になってるんだぜーって話のオンパレードなので、サイバー戦についてまったく知らない人が読んだらショックだろうなぁ。ざっくり状況を知るなら必要十分な内容でとても良いと思う。

内容的にはタリンマニュアルの世界、つまり通常戦力のプラスアルファとしてのサイバー戦という話と(これはこれまでの戦争の範疇でくくれる)、純粋にサイバー攻撃による敵国のインフラ破壊工作の話(これは相手がわからないためテロの範疇となり自衛隊は出動できない警察の仕事)。後者が戦争扱いできないというのがたぶん一番厄介なところで、アメリカは「それでもおれたちは戦争扱いするもんね」宣言をしているが、日本ではそうはいかないあたりがサイバー戦の本当に困ったところだ。

とはいえ、それでもなんとなく「目に見える」現象になっているだけマシな方で、それならなんらかの対策は打てる。本当に怖いのはまったく目に見えない攻撃だろう。本書ではほんの数行、「検索エンジンの結果が(敵国の操作で)偏向していたら?」という問いかけがあるが、それも含めて「自国の世論がいつの間にか敵国に有利な方向に変わる」なんて感じの情報戦をしかけられたら(そしてそれがまったく検知できなかったら)、戦争があったことにすら気づかずに負けているという状況が生まれるわけで、それはそれは恐ろしい話だよなぁなどと考えるのであった。

「第5の戦場」 サイバー戦の脅威(祥伝社新書266)
伊東 寛
祥伝社
¥858

Tags: security book

*1 あるのは言語の壁だけだ。プログラミング言語、自然言語ともに。

*2 もちろんセキュリティの世界でも国境を越えて協力しあう技術者コミュニティはある。というかそっちがメイン。

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NT [「LACの伊藤さん」になってます。]

ただただし [おっとっと。Thanks]


2013-11-20(水) [長年日記]

リハビリにtdiary-io-mongodbを書いている

最近なかなか個人的な開発に時間が割けずにいて、tDiaryへのコミットも数ヶ月くらいしてないありさま。その間に@hsbtがいろいろと見通しを良くする改造を入れてくれていて、ストレージを司るIOや、書式を変更するスタイルをgem化できるようにしてくれていた。

そんなわけで、ちゃんと開発に復帰するにあたって、リハビリがてらMongoDB版のIOであるtdiary-io-mongodbを空き時間にぽちぽち書いている。いちおうUnit Testは通るようになったので、実際にローカル環境のtDiaryに組み込んでみているけど、スムーズに動かすためにはもう少しチューニングが必要だなー。このあたりもリハビリしないと……。

Tags: tDiary

2013-11-16(土) [長年日記]

山中湖の文学の森に行ってきた(秋)

[写真]かろうじて残っていた紅葉

夏に行った山中湖の文学の森、「紅葉の季節はよさそう」と話していたので、また行ってきた。まぁ実際にはちょっと遅かったというか、1、2週間はやく来てれば最盛期だったなーというタイミング。ほとんどの木がすでに葉を落としてしまっていた。楓だけが元気に赤く染まっていたけど。まぁ前回と違って今日は快晴で、それは良かった。

[写真]鴨肉ほうとう

そしてまた昼食に小作でほうとうを食べ(我が家的には吉田うどんよりもほうとう)、たらふくになったあと、かみさんが行ったことがないと言うので忍野八海へ。おれもたしか30年くらい行ってないよ。

[写真]忍野八海

風景は記憶にあるものとそんなに変わらなかった──売店の中を通らないと行けない池とかあって、山中湖の中でも(良くない方向に)観光地化が進んでいる──けど、観光客のかなりの割合が中国人だったのが驚きだった。いや、富士山に来る中国人がいっぱいいるのは知ってたけど、こっちにも寄るんだねぇ。ペットボトルに勝手に水をくんで売店のおっちゃん(ペットボトルを150円で売っている)と喧嘩してたりして、国際化も大変だ。

偏光フィルタを忘れたので、池の写真は満足に撮れなかったのであった。写真はこちら

Tags: travel

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