2013-04-16(火) [長年日記]
■ 鳥類学者 無謀にも恐竜を語る (生物ミステリー)(川上 和人)
タイトルからして面白そうなので読みたいなと思っていたら本が好き!で献本募集があったので申し込んだらあたってしまった。過去、正確に4回に1回の間隔であたっていたのに、なんと今回は3回目である。うちゅうのほうそくがみだれる……!!
学生のころ、全身が真っ白い羽毛で覆われたティラノサウルスの化石が発掘されるというシーンから始まる小説を書いたことがあって*1、鳥類が恐竜の末裔であるということはそのころ(四半世紀くらい前?)からすでに一般にも認定されていたと思う。ので、現生鳥類から恐竜のことをあれこれ想像するのはごく当然のなりゆきなはずだけど、そういう話はいままであんまり読んだことがなかった。
とはいえ、このことがほぼ確定的になったのはなんと2011年のことだと説明されて驚いたりして、やっぱりこの世界は油断がならない。というか、こんなに知らないことが多かったんだなぁと唖然とするくらいに話題は多岐にわたっていて、ページをめくるたびに新しい発見と驚きがあってじつに面白い。クジャクのアレはじつは尾羽根じゃないとか、ダチョウなどの飛ばない鳥のことを「平胸類」って呼ぶなんてぜんぜん知らんかったよ*2。
こうしてみると、自分が恐竜について知ってる(つもりだった)ことに比べて、普段から慣れ親しんでいる(つもりだった)鳥類のことはなんにも知らなかったんだなとわかる。恐竜を餌にして鳥類について知ってもらいたいという、鳥類学者である著者の策略にまんまとはまった感じ。そう、本書は「鳥類学者が恐竜について語って」いるように見せかけて、実は「恐竜を通して鳥類について語って」いる本である。
あと、とにかく軽口が多くて、軽口を除いたら一割くらい薄くなるんじゃないかというくらいなんだけど、これがぎりぎりでオヤジギャグになる手前くらいには面白い。あえて適切じゃない例え話とか。恐竜のサイズをガンタンクで例えてみたり(わかんねーよw)、重心の話題でハーレーとビューエルを比較してみたり(バイク乗りじゃなきゃわかんないだろ)。
というわけで、恐竜についての新しい視点を得られるだけでなく、鳥類についてもいろいろ知ることができて、おまけに気の利いたジョークも読めて、一冊で2.5冊分は楽しんだ感じだ。お得!
楽しく読ませて頂きました。
文献として最良のランク。
ユーモアも満点。
分かりやすさに関しては、点のつけようが無いくらい秀免でありやした^o^