2012-02-23(木) [長年日記]
■ 結局、「無料の電子書籍」ばかり読んでいる
ブックリーダーにKindleを選択した時点で、読めるのは自炊本か英語の本しかないというのはわかっていたけど(本当に4月から日本でもKindleをサービスインするのかね?)、国内の電子書店はどんどんDRMをキツくする方向に進んでいて、日本の電子書籍の未来はお先真っ暗と言わざるを得ない*1。何度でも書くけど、書店や出版社の寿命に依存した電子書籍は、たんなる「貸本」だ。レンタルならCDに準じて定価の1/10くらいにしてもらわんと、買い手としては割りに合わない。
で、そういう不自由な「電子資本」を避けてとおっていると、けっきょく行き着く先は無料のWeb小説になってしまう。最近よく漁っているのが、星海社が運営するラノベ主体の最前線と、小説からエッセイ、ノンフィクションまで取り揃えている集英社のレンザブロー(レンザブローで連載中の「ゼロ!」はすんごく面白いので超オススメ!)。あとはもちろん、忘れちゃいけない青空文庫。
「最前線」も「レンザブロー」も、いずれもHTML/テキストベースなので検索やコピペ可能、いろいろ加工もできてたいへん扱いやすい*2。ルビもrubyタグできちんと実装されていたりしてね。特に「最前線」はHTML5を使ったかなりまっとうなHTMLで、名前のとおり最前線を行っている。ビジネスモデルが違うとはいえ、ボイジャーのBinBみたいに同じ「HTML5」を謳っているくせにコピペも検索もできないのとはずいぶん違う*3。
普通のWebページだからSend to Kindleみたいなサービスを使ってKindleに送ってもいいが、やはり「本」としてまとまった形にしたいので、簡単なスクレイピングをして青空文庫形式に変換後、いつものように青空キンドルで縦書きPDF化してから読んでいる。一連のスクリプト、せっかくなのでgem化した:
% gem install aozoragen
なんにせよ、こういうチャレンジをしている出版社はちゃんと応援したいので、「有償だけどDRMフリー」みたいな形に踏み込んでくれないかなぁ。払う気満々なんだけど、おれ。先日高橋さんがHTML5とか勉強会で話したネタに「電子書籍は有料化したWeb」という話題が出てくるけど、ほんと、有償化とDRMが一体化している現状では、電子書籍になってもかえって不便になっていいところがひとっつもない。有償化とDRMは切り離して欲しいものだ。
そういえば、ついに日本のiTunes Storeで全楽曲がPlus対象になった(つまりDRMフリー化した)けど*4、iTunes Music Storeが日本に上陸したのが2005年の8月だから、音楽がDRMフリーになるまで7年の歳月がかかったということだ。てことは書籍がDRMフリーになるまで、(電子書籍元年から数えて)あと5年くらいかかるのかねぇ。それまでに出版社が潰れないといいけど……。