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ただのにっき


2011-05-31(火) [長年日記]

第1回アクセシビリティBAR『初夏のパンくず祭』に行ってきた

最近、仕事の関係でなぜかWebアクセシビリティのコミュニティに関わりができはじめていて(受託の面白いところですな)、一介のプログラマだったはずなのに数奇な運命であります(おおげさ)。

で、東日本大震災の直後に関係者と飲んでいたときに「今年はヤマザキ春のパン祭も自粛らしいですよ」的な話が出て、「じゃあ代わりに『カワサキ春のパンくず祭』をしようではないか」という流れになったんだが、実現したときには本家は復活したあと、しかもすでに春というよりは初夏になっていたという。そんなこんなで第1回アクセシビリティBAR『初夏のパンくず祭』に参加したのだった。

ハッシュタグ#a11ybarを見ればわかるように、参加者がやや内輪だったこともあり、開始直後から1時間くらいは飲み食いに忙しくてどうなることかと思ったが(笑)、その後けっこう真面目にパンくずリストの話になった。パンくずリストの話など、すでにこの10年間で出尽くした感があるし、どんなマークアップにするかでセマンティックも変わってくるとあって、宗教論争じみた展開が定番なのだが、アクセシビリティがからむとひと味違う感じになるのが面白い。

例えば数年前、記号を適切に読み上げられなかった当時のスクリーンリーダーを意識して、区切り記号の「>」を画像にしてalt属性に「の中の」を当て、文章として読み下せるようにパラグラフとしてマークアップしたパンくずリスト(例: インフォアクシア)は、当時としてはユーザテストまで行ったしっかりしたものだが、今となっては改善の余地がおおいにある。特に「">"で挟まれた複数のリンク」が「パンくずリストである」と認知されている現在では、スクリーンリーダーユーザをそこまで過保護にする必要はないのだそうだ。が、今でもこのスタイルを無批判に真似をしたサイトが蔓延していて、発案者が頭を抱えている状況になっていたり。

あと、セマンティクスを意識して、ul/olを使ったり、dlを使う、さらにリストを入れ子にするなど、凝ったマークアップは数あれど、スクリーンリーダー利用者からしてみるとどれもたいして変わりはないとか(しいて言えばそこにパンくずリストがあることがわかるという意味で単純なリストで十分とのこと)。まぁ、原理主義者による行き過ぎた実装が現実では尺に合わないというのはよくある話である。

とりたててスクリーンリーダーユーザを特別扱いしなくても、慣れればそこに何があるのかはけっこう理解できているというのは目ウロコというか、過剰なサービスが冗長でうっとおしく感じられてしまうというのは晴眼者にしてもわかる話で、普通にシンプルなマークアップを心がければいいんだってことだよね。ポップアップやドロップダウンリストで過剰に飾り立てたパンくずリスト(例: ネットイヤー)なんかは画面を拡大して使っている弱視のユーザにはかえって不便だったりもするわけで。そういう意味では、そもそもパンくずリストが必要ないシンプルな構造のサイトを目指せという指摘もうなずけるものがあった。

そんなこんなで予定よりも30分延長してお開きになったのだが、パンくずリストだけをネタに3時間も話ができるんだから、どんだけ変態の集まりなんだ。またやろう。

Tags: a11y

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