ただのにっき
2010-03-31(水) [長年日記]
■ 「非実在青少年問題」規制反対派はもうちょっと戦略的に動くべきじゃないか(2)
昨日の続き。批判しっぱなしは性に合わないので、提案もしてみるよ。この活動にはよい結果を残して欲しいしね。なお、以下は基本的に自分の観測範囲で公開されている情報のみにもとづいているので、すでに水面下で進行中の事柄もあるだろう。ちまちま書いてたら時間がかかってしまった。3/31付けだけど実際の公開は4/4。
6月までの短期決戦である以上、ロビー活動を中心に据えている現在の方針は良いと思う。パブリックコメントを募集しているわけでもない案件に、無差別にメール/FAX攻撃をするとむしろ心証を悪化させかねない。ただ、味方に付けたい議員に対してアピールするにしても、バックにそれなりの数の有権者が存在していることを実感させられなければ効果がない。
つまり、「継続審議対策として味方になってくれる議員を効果的に増やす。そのためにより多くの普通の人にリーチして反応を引き出す」というのが基本戦略になる。その上でとれる戦術は:
公開Webサイトを中心に組織化する
「非実在青少年」でググると、最初に出てくるのが「非実在青少年」規制問題・対策まとめは個人によるまとめサイトで、オーナー多忙につき更新停止中。その次がニュース記事(Yahoo!は最初からニュースばかり)という感じで、活動の中心になるようなWebサイトがない。今どきこれはありえない。
「プライムニュース」に里中満智子や藤本由香里を送り込んだグループが、オフィシャルなサイトを持って情報発信していくべき。どうも関係者間の情報交換はMixiで行われているようだし、Twitter上での関係者のつぶやきも活発だけど、それではあとから運動に関与したい人には敷居が高いだけ。まとまった公開情報はオフィシャルサイトで出さないと、仲間内で馴れ合ってるようにしか見えなくなってしまう危険性もある。これから理解者を急速に増やしていかなければならない状況で、これはすごくマイナスだ。
公式サイトがあれば、この上で市民の意見を集約したり、適切な行動を促したりできる。明確な組織が目に見えれば、活動に参加したい人も門戸を叩きやすくなる。なによりも、無責任なデマの拡散を防ぐのに、URLで参照できる公式サイトは有効だ。効果のない昔の署名活動に踊らされることなく、求心力のある署名集めだってできるだろう。
普通の人たちにわかりやすくアピールする
反対派の合言葉のようになっている「まずは条文を読め」はご法度。小難しい法律文書なんてものを読みたがるのは、ごく少数だということを肝に銘じるべき。その上で、条例案の持つ危険性を、平易な言葉で簡潔に表現しなくてはいけない。
これが難しいのは重々承知しているが、ものごとを平易に表現することに長けたマンガ家があれだけ揃っていながら、それができないとは思えない。というか、この話題をマンガで表現しようというマンガ家がいないのはどういうわけだ*1。出版社と対等になっていない若手にはいろいろ制約があって難しいかも知れないが、描き手はたくさんいるだろうに。
対案を用意する
今後反対派に取り込んでいくべきなのは、まさに子供を守りたいと考えている「親」たちだ。「子供たちの今」を守りたいという気持ちを利用して、裏で「子供たちの未来」を奪うというのがこの条例の危険なところだ。
だとすればまず、その「今」の不安を和らげてあげないといけない。規制反対派はゾーニングでそれができると主張しているが、ゾーニングをどのように適用・強化するのか、現状では具体的なものが見えない。「今のままで十分」という主張が不安の解消につながらないのは明らかなので、反対派の不安のポイントをきちんと把握した上で、納得してもらえる「対案」を用意する必要がある。
相手の戦術に対抗する
この戦術は議論の余地が大きいと思うが、規制派が条文の細部に踏み込まずに雰囲気だけで押し通そうとしている以上、反対派も雰囲気の醸成を考えた方がいい。ニコニコ動画の討論会(→まとめページ参照)に規制派が参加ていないのを見ればわかるように、彼らは本当に戦い方を心得ている。不利な場には絶対出てこない。
彼らが危険な存在だということを明確にできるレッテルを貼ることを考えた方がいいかも知れない。「おせっかいファシズム」という呼び方を見たけど、これだとちょっと弱いかな(「禁煙ファシズム」よりはだいぶ弱い)。ただし、味方に付けたい「親」たちにまでそのレッテルが及ばないように気をつける必要があるので、難しいところだ。
*1 ちばてつやの描いたもの(あれは過去に描いたもの?)を以前ネットで見かけたけど再発掘できず。