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ただのにっき

2010-01-23(土) [長年日記]

自分たちで歴史を書き残すこと - 「敷居の部屋」シリーズを読む

「年甲斐もなく……」と揶揄されそうな趣味を持つときは、大人の防衛本能として「ちゃんと役に立ってる」ように見せかける言い訳を用意しがちだと思うのだけど、ニコマスに関しても「Web屋としてネット時代のCGMについて知見を得るため」みたいな表向きの理由をちゃんと用意してあるわけです。本音としては「765プロのアイドル最高です」に尽きるわけだけど(笑)。

冗談はさておき(どっからが冗談だったんだ)、この3年間をとおしてニコマスを通して得たCGMに関するアレコレは実際血肉となっているわけで、お客さんからその手の仕事を振られてもそれなりにこなせるだけの知識と経験を得られたと思ってる。それどころか英語サイトの運営を通してSEO/SEM的な実験までさせてもらって、なんとも有意義な3年間だったよなぁ。以前書いたニコ動のコミュニティに関する記事ニコ動はコミュニティと呼べないなんてコメントが付いて失笑を買ったりするように、こういうものはある程度コミュニティの中に入りこまないとわからないことが多いわけで、3年という時間もなんらかの成果を実感するのに必要な期間だった気がする。

その「成果」を確認する上でも重要な著作が3冊、昨年の夏から冬にかけて登場したので、まとめて取り寄せ、読んでみた。敷居の先住民の敷居さんがラジオで行ったニコマスPへのインタビューをまとめたものである。同人誌買うのなんて何年ぶりだろ(taitokuさんいろいろありがとう~)。なにしろ人見知りが激しい上に、どのニコマスPも天上界の人々に感じてしまう見る専なので、こういう企画はホント嬉しい。

ニコ動御三家の中でもニコマスは常に著作権問題と向きあわざるを得ない立場にあることもあり、他のジャンルに比べて陰影が濃いのだが、そのせいもあって従来メディアが取り上げてくれることが極めて少ない。ということは歴史を書き残すのは自分たちしかないわけで、その点だけでもこういう仕事が紙として残るのは重要なことだ。

ニコマスPはブログ保有率も高くて、作品解説なんかもけっこうしてくれるんだけど、インタビューというのは自分語りとは違った側面に光を当てるので、これが実に面白い。敷居さんはリスナーのニーズを捉えた上で的確かつクールな質問をするので、インタビューとしてもかなり優れものだ。これに大工Pの熱い歴史解説が加わるのだから、3年間を俯瞰する資料として必要十分。普通は「熱いインタビューと冷静な歴史解説」という組み合わせになりそうなところ、実際は逆というところも面白い。

まぁはっきり言って、ニコマスに触れたこともないような人が読んでもチンプンカンプンな本だけど(同人誌はそれでいいんだけど)、そういう人はのちの歴史家がこれを資料として書くものを読めばいいので、現時点でこの三冊の持つ価値は計り知れない。というか、ニコマスは衰退どころかいまだ毎日100作品も上がる大きなジャンルなので、これからも継続して出してもらいたいところ。がんばってください:-)

「敷居の部屋」シリーズはサークル敷居亭関連情報まとめ&通販受付から、通販でも入手できる。