2008-08-31(日) [長年日記]
■ フリーランチの時代 (ハヤカワ文庫JA)(小川 一水)
売れっ子(だと思う)小川一水の、ハヤカワからは2冊目の短編集。
表題作と「Live me Me.」、「千歳の坂も」は、ある意味はやりのアイデンティティSFで、特に「Live me Me.」なんてネタ的にはかなりイーガンっぽいのだけれど、基本的にはあまり形而上的な方向へは突っ込まず、軽やかにラノベ的な着地をするという。身構えていると拍子抜けするけど、こういのもアリなんじゃないの、とは思う。
残る2作のうち「Slowlife in Starship」は、はやぶさファンとしては涙なくして読めない宇宙モノ。「アルワラの潮の音」は『時砂の王』の外伝で、うーん、まぁまぁかな。これだけ読んでもわけわかだろう。
売れっ子の短編集は、数が揃ったら出版されてしまうので、テーマ性とかを設定するのは難しいと思うけど、もうちょっと粒を揃えて欲しかったかなー。どれも佳作なだけに、トータルで見るとちょっと残念。
■ とりから往復書簡 (1) (リュウコミックス)(とり みき)
いやー、おかしい。腹が痛い。この2人のファンなら読まないと。そうでない場合にはまったく何も保証しないけど。
いわゆるエッセイマンガ。ただし「手紙」の体裁をとっているので、2人が連続して1つのネタについて描く。前半がネタフリ役で、後半がそれを受けてオチをつけるということになるんだが、かといってネタに走りすぎることはなく(むしろ変なネタは少ない)、調理の腕前だけで笑わせてくれる。さすがデビューからずーーーーっとギャグだけ描いてきた2人である*1。
ところで、文庫版の「るんカン」と「クリン」にはおまけマンガが付いていると知って、急激に欲しくなってしまったのだが、どうしたもんだか。もちろんチャンピオンコミックス版は全巻持ってるわけで。
*1 「だけ」というと嘘になるか。とり・みきには『石神伝説』とかあるもんな。
「クリン」の方は3巻それぞれに4,6,4ページ描いてて、内容は原田知世はいい!!の原田知世仲間が出てくるのは毎度のことなのですが、かわいい女の子を描く苦労やテレビドラマ化のこと、連載終了についてなど、おもしろかったですよ。
ネームも変更(というか元に戻してある)そうじゃないですか。そのあたりを比較してみるのも面白いのでは?
買う方向で話が進んでるようだけど、買わないよ!
たぶん。