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ただのにっき


2008-08-04(月) [長年日記]

パラボラオタが非オタの彼女に世界のパラボラアンテナを軽く紹介するための10基

元ネタ。途中までテンプレに忠実に作ってみたけど、ぜったい無理だとわかったので、ちょこちょこ嘘も交えつつ、最終的にはただのパラボラ紹介記事風味で。

そういえば今日、週末に野辺山に行くという同僚に「ついでに臼田にも寄れ」とか「日曜はアンテナがお休みモードだから8/23の公開日に行くべき」とか熱く主張して引かれました。すみません。


まあ、どのくらいの数のパラボラオタがそういう彼女をゲットできるかは別にして、「オタではまったくないんだが、しかし自分のオタ趣味を肯定的に黙認してくれて、その上で全く知らないパラボラアンテナの世界とはなんなのか、ちょっとだけ好奇心持ってる」ような、ヲタの都合のいい妄想の中に出てきそうな彼女に、パラボラのことを紹介するために見せるべき10基を選んでみたいのだけれど。

(要は「脱オタクファッションガイド」の正反対版だな。彼女にパラボラを布教するのではなく相互のコミュニケーションの入口として)

あくまで「入口」なので、実物を見に行くような時間的・金銭的に過大な負担を強いるのは避けたい。できれば写真だけで魅力が伝わる、実際見に行くとしても国内アンテナにとどめたい。あと、いくらアンテナ的に基礎といってもカセグレン以前のものは避けたい。SF好きが『竹取物語』は外せないと言っても、それはちょっとさすがになあ、と思う。そういう感じ。

彼女の設定はパラボラ知識はいわゆる「BSアンテナ」的なものを除けば、テレビ塔に付いているのに気づいているくらい。頭はけっこう良いという条件で。

まずはおれ的に。出した順番は実質的には意味がない。

Parkes天文台(オーストラリア)

まあ、いきなり国外かよとも思うけれど、「アポロ以前」を濃縮しきっていて、「アポロ以後」を決定づけたという点では外せないんだよなあ。直径も、大きさを実感できる30m以上あるし(64m)。

ただ、ここでオタトーク全開にしてしまうと、彼女との関係が崩れるかも。

このアンテナを一発目に持ってくる意義は、なんといっても最高のプロモーションビデオである『月のひつじ』があることだ。ちょっとマイナーなコメディを見てもらうくらいの軽い気持ちで接してもらえば、各所に「これでもか」というほど出てくるパラボラアンテナの美しさに気づいてもらえると思う。

臼田宇宙空間観測所(長野県)

Parkesと同じ64mながら関東日帰り圏内にあって、Parkesの華奢なデザインに対して質実剛健な印象を与える臼田。

これらって典型的な「オタクが考える一般人に受け入れられそうなパラボラアンテナ(そうオタクが思い込んでいるだけ。実際は全然受け入れられない)」そのものという意見には半分賛成・半分反対なのだけれど、それを彼女にぶつけて確かめてみるには一番よさそうな素材なんじゃないのかな。

「パラボラオタとしてはこの二つはアートとして見てもいいと思うんだけど、率直に言ってどう?」って。

国立天文台野辺山宇宙電波観測所(長野県)

SFオタが持ってる宇宙への憧憬と、あえて通信用アンテナではなく電波望遠鏡の精密さを彼女に紹介するという意味ではいいなと思うのと、それに加えていかにも

「女王様的なカッコよさ」を体現する45m単一鏡

「女王様の従者」を体現する10m干渉計

をはじめとして、オタ好きのする各種アンテナを敷地内にちりばめているのが、紹介してみたい理由。臼田の帰りに寄るのもいいしね。

Jodrell Bank Lovell telescope(イギリス)

たぶんこれを見た彼女は「ちょっと変わった形だよね」と言ってくれるかもしれないが、そこが狙いといえば狙い。

70mを超えるこのサイズの電波望遠鏡がその後ほとんど作られていないこと、これがアメリカでは映画にも登場しているのに、予算不足で閉鎖の危機ということ、なんかを非オタ彼女と話してみたいかな、という妄想的願望。

Very Large Array(VLA)(アメリカ)

「パラボラアンテナは大きいほどいいんだね」という話になったときに、実はそういうのは最近の流れじゃないのだと伝える意味で、次はこれ。25mアンテナ27基という群体アンテナで、パラボラの魅力が単体アンテナだけではないことを知ってもらおう。

これもいいプロモーションビデオである『コンタクト』が使える(が、最後まで見せないほうがいいかも知れない)。明け方の薄明かりの中、ジョディ・フォスターの背景に浮かび上がるアンテナ群の美しさについて、語ってみたい。

KDDI茨城衛星通信センター(茨城県)

今の若年層でケネディ暗殺事件について知ってる人はそんなにいないと思うのだけど、だから紹介してみたい。

当時の日本の技術力では不可能と言われていた衛星通信用カセグレンアンテナで、アメリカからの初めての生中継がケネディ事件という、なんとなくパラボラ好きとしては不思議に誇らしいし、アンテナがどういう場面で使われているのか知らない彼女には見せてあげたいなと思う。いや、見せたくとも当時のアンテナはもうないのだけど、後継の32mはいま、電波天文台として生まれ変わろうとしていて、それもまた素晴らしいことなので。

鹿島宇宙通信研究センター(茨城県)

34m大口径パラボラアンテナの魅力をオタとして教えたいということではなくて。「日常に溶け込むパラボラアンテナに対する憧れ」的な感覚がオタには共通してあるのかなということを感じていて、だからこそ街中にあるこのアンテナは外せないと思う。

BSアンテナやスカパー!で「パラボラのある日常を生きる」というオタの感覚が今日さらに強まっているとするなら、その「オタクの気分」の源は鹿島にあったんじゃないか、という、そんな理屈はかけらも口にせずに、単純に楽しんでもらえるかどうかを見てみたい。公開日にはぐりぐり動いて、おまけに触れるし。

米軍府中基地跡(東京都)

これは地雷だよなあ。地雷が火を噴くか否か、そこのスリルを味わってみたいなあ。

こういう廃墟風味のアンテナがこういう形で残っていて、それが非オタに受け入れられるか気持ち悪さを誘発するか、というのを見てみたい。

Deep Space Network(DSN)(アメリカ、スペイン、オーストラリア)

9基まではあっさり決まったんだけど10基目は空白でもいいかな、などと思いつつ、便宜的にDSNを選んだ。

アポロから始まって最先端の惑星探査で終わるのもそれなりに収まりはいいだろうし、JAXAもずいぶんお世話になってるし、紹介する価値はあるのだろうけど、もっと他にいいアンテナがありそうな気もする。内之浦とか。アルマとか。Green Bankとか。勝浦・沖縄の18mも捨てがたい。

というわけで、おれのこういう意図にそって、もっといい10基目はこんなのどうよ、というのがあったら教えてください。「駄目だこいつは。おれがちゃんとしたリストを作ってやる」というのは大歓迎。こういう試みそのものに関する意見も聞けたら嬉しい。


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