2008-06-11(水) [長年日記]
■ オールドファッションドSFの愉しみ
例によって半月遅れのSFマガジンを読んでいたら、山本弘の連載が始まっていて小躍り。そんなタイミングで野田昌宏大元帥の訃報。正直、クラークの訃報よりショックかも。帰宅途中にBookOffなどに寄ってみたけど、『銀河乞食軍団』など見つかるはずもなく。全部うっぱらっちまったのを悔やんでも遅い。
野田作品に漂う、「古き良きSF」の香りが好きだった。そう言えば山本弘は、そんな野田作品にも通じる、オールドファッションドSFの名手。追悼読書として、またもやひねくれた方向を選ぼう。
闇が落ちる前に、もう一度 (角川文庫)(山本 弘)
積ん読箱から最初に掘り出したのはこの短編集。もっとも、ちょっと期待した方向とは違ったか。いちおう「ホラーSF短編集」ということになっているようだが、ホラーと言うにはちょっと怖さが足らない。というかぜんぜん怖くはない。むしろオモロイ感じ。SFで本当に怖いホラーを書くのは難しいよね。
シュレディンガーのチョコパフェ (ハヤカワ文庫JA)(山本 弘)
こっちはまさに、ワンアイデアをぐいぐい推し進めるタイプのSF短編集で、ネタは新しいけどスタイルはまごうことなきオールドファッション。これこれ、こういうのが読みたかったのだよ。
ほとんどはSFMで既読だったけど、どれも楽しめた。脳の最新理論をSFらしく拡大解釈した「七パーセントのテンムー」が秀逸。