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ただのにっき


2008-04-15(火) [長年日記]

レインツリーの国(有川 浩)

これで手持ちの有川作品はおしまい。図書館戦争の外伝その1はすでにflipperが買ってるので待ってればおりてくるな(←買えよ)。

図書館内乱』の作中に登場する架空の小説を、別の出版社から出すという大胆企画を形にしたもの。なので図書館とも自衛隊とも関係ない、小細工なしの真剣勝負恋愛小説。(やはり1年半も前の本なのでネタバレを気にせずに書くが)主人公は聴覚障害者なので、かなーりヘビーな話である*1

装丁もきれいで手が込んでいるし、ちょっと版型が小さくて薄いこともあって、とても手になじむいい本だ。こういう重い恋愛小説が、こんなふうに軽やかなパッケージになっているのはとてもいいな。ハッピーエンドを想像させてくれて(というか、言うまでもなくハッピーエンドだけど)。

感想とかはググればいくらでも出てくるので、昨日の続き。我々男子は、なぜ有川浩にはまるのか問題について、偏見丸出しのおれなりの結論:

本書を読んでいて気づいたのだが、有川作品に出てくる男たちは(多少の例外はあるけど)、たいてい理屈で女を口説く。喧嘩しても理詰めで問い詰める。脳みそまで筋肉でできてるかと思えるような自衛隊員でさえそうだ。

こういう男は、現実世界ではモテないはずなんだが、有川世界ではいい感じに評価される。もちろん女たちは現実世界に忠実に、理屈でどうこうできない存在として描かれるので、理詰めで喧嘩すると泣くわけだけど、基本的に理屈っぽい男の評価軸はプラス方向だ。これはもう、男の妄想世界以外のなにものでもない。

だから、男が読んで心地よいんだな。

女性が書いた恋愛小説が女性視点だと思ったら大間違いだ。有川作品は完全に男性視点。実際、描写の視点も男サイドからのことが少なくない。だから、「べた甘なラブストーリー」と聞いて及び腰にならなくてもいいのだ。これは男が読んでこそ楽しい、架空世界のお話なんだから。残念ながら、現実世界で登場人物の真似をしてもモテないと思うけど。

Tags: book

*1 帯に「すれちがう彼女の秘密と彼の秘密。それはとても重大でささやかな秘め事。」とか書いてあるけど、そんなの前半1/3までの話じゃん。重要なのは後半なのに、なにこの下手な煽り文句?

本日のツッコミ(全2件) [ツッコミを入れる]
hyuki (2008-04-17(木) 12:18)

> なにこの下手な煽り文句?

…とアルファブロガーに書かせてブログで言及させるための煽り文句、とか。

ただただし (2008-04-17(木) 13:32)

なるほど、アルファなら帯だけにツッコミ入れておしまい、というわけには行きませんからねぇ。……って、「なるほど」じゃねぇ!


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