トップ «前日 最新 翌日» 編集
RSS feed

ただのにっき


2007-10-13(土) [長年日記]

BPLAYの思い出

【注意:年寄りの回顧記事です】

ニコニコ動画(RC2)発表会に行ってきますという記事の中で、初音ミクに関して:

相変わらず新規作品が毎日100以上掲載される(アイマスのデータ集によると、アイマスですら100/日を超えたのは数回しかないということなのでまさに驚異的)という勢い

という記述があったけど、あんた、(入手困難とはいえ)1万ちょっとのソフトと楽譜さえあれば参入可能なジャンルと、XBOX360+ゲームソフト+ビデオ編集ソフトが必要なジャンルを比べてどうするよ*1。でもまぁ、参入障壁が低いのは素晴らしいことだ。アイマスMADなんて、最近は高度になりすぎて、もはや自分で作ってみようなんて気はさらさら起きないし。

音楽つながりだが、先日はてなダイアリーが導入したMML記法、あまりの懐かしさに腰が抜けた。今を去ること20年ほど前、BPLAYというソフトウェアにハマっていた時期があったからだ。まだVectorで入手できるんだなぁ。おれが作った周辺ソフトもこのへんに残っている。もう手元には残してないから、Vectorが潰れたら消滅だな。

BPLAYは、「うっぱち屋」を名乗る二人組が開発した、NECのPC-9801シリーズ上のMS-DOSで動作する音楽再生ソフトで、98シリーズの内蔵スピーカを使う。常駐ソフトなので、MS-DOSなのに作業中にも音楽が流せる……んだけど、なにしろビープ音なので、音質は果てしなくチープなのは想像するまでもない。

当時、パソコンでDTMをしようと思ったら、X68000(あとはMac?)みたいなもっとマシなハードを使うか、98でもMIDIボードを入れるのが普通だったけれど、とうぜん追加投資が必要なわけで、やっぱりそれなりに好きな人たちによる趣味の世界だった。

BPLAYはチープなビープ音ではあるものの、当時もっとも普及していたハードの標準機能しか使わないこともあり、またMML記法の単純さも手伝って、けっこうふつーの人たちにも愛されていたと思う。ここでさっきの参入障壁の話につながるわけだが、これ以上とくに続かない(笑)。

どんなにチープな世界でも、なんとか高度化してしまう人たちは必ずいるもので、BPLAYの世界も技法が発達していく。長い2音を短く分割してトレモロのように交互に鳴らすことで、擬似的な和音が生み出せることがわかると、その進化は加速。特にこの日記にもときどきツッコミを入れてくれる、のぶくにさんは突出した技術を持った人で、最終的には五重奏までやったように記憶している。

Windowsが登場して、98シリーズに代わってPC互換機が主流になり、音もPCMが鳴るのが当たり前になると、BPLAYは廃れていく。でも当時のBPLAYコミュニティの熱気は、今のニコニコ動画に通じるものがあったなぁ。

まぁとにかく、想像するよりかなりびっくりする作品が、いくつもあったのよ。はてなダイアリー上でもすでにいろんな作品が公開されているようだけど、たぶんどんどん高度化していくんだろう。まさかこの世界が、20年の時を経て復活するとは思わなかったよ。歳はとってみるもんだ。

*1 まぁ、人の撮影した素材だけ使う「借り物P」なんて人たちもいるけれど。


トップ «前日 最新 翌日» 編集
RSS feed