2007-08-25(土) [長年日記]
■ ピラミッドからのぞく目 (上) イルミナティ 1 (イルミナティ) (集英社文庫)(ロバート・シェイ)
この作者達はまるっきりの能なしよーー文体も、構成もなってないわ。出だしは推理小説風なのに、SFになったかと思うと、怪奇ものになるし、気味悪いほど退屈な何十というテーマをめぐるめちゃくちゃに細かい情報がぎっしり詰まってるの。それに時間の流れもフォークナーやジョイス気取りのすごくわざとらしいやり方でてんでばらばら。さらにひどいのは、猛烈に卑猥なセックス・シーンが売ることだけを考えてぶちこまれていて、作者たちはーー聞いたこともない人たちなんだけどーー最高に悪趣味を発揮して、実在の政治上の人物をこの出鱈目に引きずりこんで、実在する陰謀を暴いているかのように見せかけてる。
下巻の後半にある、登場人物が語る本書自体に対する評価である。まったくこの通りで、これ以上でもこれ以下でもない感じ。Amazonがやたらと勧めてくるし、「伝奇小説の傑作」という触れ込みなので読んでみたけど、時間の無駄だぁ〜。
もちろん、「何十というテーマをめぐるめちゃくちゃに細かい情報」が面白いのだろうし、深読みをすればイロイロとわかるんだろうけど、それ以前に話がぜんぜん面白くない。というか、わざと読みにくくしているから、読むのが面倒でしょうがない。おれはこういう、時間を持て余した読者だけが宝物にありつけるような、サービス精神に欠ける小説を読む気になれない。
というわけで、続きは買わない。