2007-06-18(月) [長年日記]
■ 海の底(有川 浩)
『図書館戦争』シリーズが気に入ったので、有川浩をもう一冊読もうと思い、「怪獣モノ」だということで本書をチョイス。
開始数ページで「怪獣」が登場、休むまもなく100ページくらいまで暴れまくり、人がバンバン死ぬ。うひゃひゃひゃ、こりゃスゲー。怪獣モノはこうでなくちゃ!
そうは言っても、放射能光線を吐くわけでもなく、巨大化つっても自動車サイズ。「ハードSF」の陣地から出ないのは立派。そして物語は急速に人間劇に移行するが、これも有川節全開で面白い。まぁ、潜水艦に取り残された2人の自衛官は完全に図書隊の2人に重なるキャラ設定だし、ヒロインの性格もある意味同じなので(最後まで読むとわかる)、パターンと言えばパターンなのだが、パターンも芸のうち*1。
といいつつ、結末にはやられたね。この結末は予測してしかるべきなんだけど、油断して読んでいたらまともに食らってしまった。いいよなぁ、こういう結末はさぁ。「ええ話」の王道だよ。
難点があるとすれば、『図書館戦争』の繰り返しになるが、地の文の視点が予告なしに変わって読み手を混乱させる文体は変わらずなところ*2。これはもう、有川浩の「癖」なんだろう。無理して三人称にしないで、一人称にしちゃえばいいのに。