ただのにっき
2007-03-20(火) [長年日記]
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ピーナツバター作戦 (Seishinsha SF Series)(ロバート・F. ヤング)
少数の海外翻訳SFマニアのために薄くて高い本を出版するという、そう遠くない将来に主流になるであろう戦略を先取りした青心社のシリーズを1冊買ってみた。こんな本ばっかりになったら、おらは破産だよ。今のうちにブックオフで古い文庫本を買い漁っておくべきか。
それはさておき、愛に満ちた短編SFを書かせたら右に出るものはいないという評価のヤングだが、現代の視点では「童貞君の妄想爆発ストーリー」にしか見えない。愛じゃねーだろー、これは……。もっとも、知識不足のせいで(妄想の中でも)一線を越えられないタイプの若々しい童貞君なので、多少救いがあるが。いやまぁ、そういうところがちょっとレトロで面白いけど。
ただ、最後の「われらが栄光の星」だけは、じつにいい純愛小説になっていて、SF小道具の設定やストーリー展開も含め、かなり楽しめた。これは収穫。
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タイム・シップ〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)(スティーヴン バクスター)
以前ma2さんが傑作と書いていて、「そう言えば読んでなかった」と思って買ってみた。H・G・ウェルズの『タイム・マシン』の公式な続編として書かれた長編。面白かったよ、うん。
ただ、『タイム・マシン』とはずいぶん位置づけが異なると思った。『タイムマシン』は、解説の冒頭にもあるようにすべての時間旅行SFの祖になったほどの影響力を持った作品で、いわばセンス・オブ・ワンダーの塊だ。
一方『タイム・シップ』はエンターテイメントに徹していて楽しく読めるんだけど、目新しさはほとんどない。時間理論はありがちな多世界解釈だし、さまざまなエピソードも時間SFとしてはかつて読んだことのある感が強い。終盤のはじけっぷりはさすがバクスターだったけど、全般的には「よくできたまとめサイト」みたいなイメージ。
こういう小説が成立するということは、もはや時間SFに新しいネタはないってことなのかもね。
余談1: 「たいむしっぷ」で変換したら「タイム湿布」になってしまった。すごくくだらないショートショートっぽい。
余談2: <観察者>の描写をさらっと読んだら、スプー(しょうこお姉さんバージョン)が思い浮かんでしまい、最後までそのイメージで固定されてしまった。