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ただのにっき


2005-11-24(木) [長年日記]

第八回XML開発者の日

image なんかさー、見知った顔ばっかりなんだが。特にWikiばなとかぶってる。もちろんRubyな人たちもたくさん。高橋会長は、会社の名前をしょって出てくるときはスーツなんだな。

タイミングがつかめずに質問できなかったことを書いておこう。半可通なのできっと何かが間違ってるに違いないのだが。

今回、テーマが「REST」だったわけだが(だから参加したんだが)、「RESTはクライアントの実装者にとって福音」みたいな表現が何度もなされていて、「ホントかよ!?」と思った。もしかすると、おれの知らない画期的な開発ツールがあるのかも知れないが、RESTなサービスのクライアントは、human readableなAPI仕様書を見ながら、手作業でクエリを組み立てるような、前時代的な作業の積み重ねなんだよね? SOAPなWebサービスみたいに、WSDLを食わせればメソッドからデータ構造まで一発で自動生成されるわけじゃないよね? なんでそれが「福音」なの?

「RESTアーキテクチャ」には基本的に賛成だ。下位レイヤーはシンプルに越したことはない。水面下で何が行われているのかを理解できるということは、エンジニアの精神衛生にもたいへんよろしい。しかしそれは、開発環境をも何年分も巻き戻していいというものではあるまい。例えばAmazonのWebサービスを使うにしても、ちょっと遊ぶくらいならブラウザのアドレス欄に手書きでRESTなクエリを入力するけど、フルスペックのAPIを駆使しようと思ったら素直にSOAP4RでWSDLを使うっしょ。

「RESTなWebサービス」は、現状のWebサービスが実現している機能に追いつくために、することが山ほど残っているはずだ。上に書いたようなWSDL相当のものはぜったいに欲しいし、パネルディスカッションの最後に出た「10年間変わらないURI」を実現するためのUDDIに代わるものだって必要だろう。そのあたりの話が今日は聞けなかったのが残念かな。

Tags: rest

ブログ 世界を変える個人メディア(ダン・ギルモア)

おれの中で、ダン・ギルモアは「人の講演の最中にメールチェックをする注意力散漫な男」としてあまり評価は高くないのだが、それを抜きにしても、書こうと思えば誰にでも書けた本だと思う。挿入されたエピソードの数々はほとんど日本国内の事例に置き換えられるから、日本人が書いても違和感はないだろう。特に日本には(9.11はなかったが)2ちゃんねるがあるわけで、より刺激的な事例には事欠かない。

だが、実際にこの傑作(傑作には違いないと思う)をモノにしたのはギルモアである。この違いはおそらく、「熱意」のようなものではないか。これからのジャーナリストは、資格の有無や所属組織は関係なく、熱意の有無だけで一般人と区別されるような気がする。そして、熱意のある人だけが、この革命をドライブしていくのだろう。

本書の中で、これからのジャーナリズムにまず必要なのは誠意であるみたいな表現がよく出てくるのだが、だとするとこの邦題は誠意に欠けていると言わざるを得ない。本書に出てくる「ブログ」はあくまで市民のパワーを拡大するツールのone of themに過ぎないのに、まるで本書がブログに関する本であるかのような誘導をするのは、あまりにマーケティング主導すぎないか。

確かに、本書の主要なターゲットは、まだインターネットのパワーに気づいていない人たちだろう。すでにそのパワーに気づいている人にとっては目新しいことはほとんど書かれていないし。だからといって、そういう人たちの目にとまるように、本題から遠く離れたタイトルを付けるのはどうかと思うのだが。

そう言えば、原書はCCの元で公開されているんだが、邦訳は公開されてないのかな。asahi.comを探したけど、見つからなかった。もし非公開だとしたら、やはりこの本を訳す媒体としては失格じゃないかね。

Tags: book

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