ただのにっき
2004-02-02(月) [長年日記]
■ 「お返しTrackBack」はやめよう
以前ちょっと書いたが、妙なTrackBackが増えている。最初は「ココログだけの変な流行だろう」と思っていたんだが、先日は違うところからも受け取ったし、調べてみるとそういう例が増えているようだ。こんな習慣が根付いてしまったらうっとおしくてしょうがないので、ここにきちんと提言することにする。
「妙なTrackBack」ではわからんので「お返しTrackBack」と名付ける。「お返しTrackBack」は以下のようにして発生する。
- サイトAは、エントリ1の中で、サイトBのエントリ1に対して言及し、リンクをはった。
- 同時にサイトAは、エントリ1からサイトBのエントリ1にTrackBackを送った。TrackBackを送る行為は逆リンクを生成するので、これで両エントリには相互リンクができたことになる。これでサイトAの読者も、サイトBの読者も、双方のエントリを参照できるようになった。ここまでは良い。
- TrackBackを受け取ったサイトBは、サイトAのエントリ1に「お返しTrackBack」を送った。これが問題。
なにが問題か。
- (2)の段階で、すでに両エントリには相互にリンクが貼られている。読者にとって、両方の意見を読むためのリンクはすでに十分にある。これ以上のリンクは余剰である。
- TrackBackには本来、「あなたのエントリに言及しましたよ」という意味がある。しかしながら、サイトBのエントリ1には、サイトAのエントリ1に対する言及はない。これはTrackBackの意味を無効にしてしまいかねない。
- 「お返しTrackBack」を受け取ったサイトA(の中の人)は「がっかりする」。だってみんな、TrackBackを受け取ったら嬉しいでしょ? それは自分のサイトに対する(言及による)反応だと思うから。でもサイトBにはサイトAへの言及なんかないのだ。てゆうか、そのエントリはもう読んだってば!
- (3)のTrackBackをたどった読者は「がっかりする」。なぜなら、リンクの先には今読んだエントリに対する言及があるはずなのに、それがないから。てゆうか、そのエントリはもう読んだってば!
得する者などない「お返しTrackBack」が発生したのはなぜか、よくわからない。intersite MLでネタを振ってみたりした。ココログの「TrackBack野郎」のせいだという声もある。儀礼を重んじる日本人ならではの行動ではないかという意見もあった。でも、ちょっと考えれば、おかしいことに気づくだろと思うんだけどね。
なお、言うまでもないことだが、下図のような場合にはTrackBackが有効に使われている。これを「TrackBack返し」と呼んでいるサイトが多い。本稿で問題視している「お返しTrackBack」とは別物である。というか、こっちがTrackBack本来の使い方である。
- サイトAは、エントリ1の中で、サイトBのエントリ1に対して言及し、リンクをはった。
- 同時にサイトAは、エントリ1からサイトBのエントリ1にTrackBackを送った。
- TrackBackを受けたサイトBは、新しくエントリ2を起こし、サイトAのエントリ1に言及した。
- 同時にサイトBは、エントリ2からサイトAのエントリ1にTrackBackを送った。
注記
なおこのエントリでは、トラックバックの有効な使い方を考えるで触れられているような、以下の場合の「お返しTrackBack」までは否定しない。特にFriday 5の使い方は、本来のTrackBackとは異なる文化である。
- サイトAのエントリ1に言及リンク(1)がないにも関わらずTrackBack(2)だけがあるような場合
- Friday 5の相互TrackBackという「風習」
それから個人的には読者が混乱しやすいので推奨しないが、わざわざ新しいエントリを起こすほどでもないと思うなら、こういうのはアリかも知れない:
- サイトBのエントリ1にサイトAのエントリ1への記述を追記してからTrackBack