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ただのにっき


2019-02-21(木) [長年日記]

OSSライセンスMeetup Vol.2「実録:GPL違反とその対応を振り返る」へ行ってきた

講演者の宮田さん

つい最近、仕事でGNUライセンスがらみのインシデントがあって疲弊していたところ、タイムリー(?)にこんなイベントが目に入ったので参加。初回はぜんぜん気づかなかったなー。

ライセンス話だとよく見かける人たちも多数参加していて、ライセンスみたいな汎用的な話題でもコミュニティに偏りが発生しているのは興味深いです(良くはない)。場所は以前OSS Gateでもお世話になったサイオス。さほど駅近じゃないので移動がけっこう大変だけど、開始時間を遅くされると早めに帰らなきゃいけなくなるから難しいところだ。

イベント説明に「2002年のGPL違反」と書いてあったので予習しようと思ってググったら、Sigma Designの件エプソンコーワの件*1が出てきたけど、講演者の経歴からいって後者かな(←あたり)。かくして当時エプソンコーワの現場にいた人の口から、17年の歳月をこえて数々の証言が語られたのだった(めっちゃ面白いオフレコ話もけっこうあり)。資料はこれ

問題のドライバ/ユーティリティのブロック図

騒動の概略は上のスライドのとおり、ソースコードを公開したくないライブラリとGPLのモジュールをリンクして公開してしまったところにあるのだが、GPLだったgettextをLGPL版に差し替えて、全体に独自ライセンスを設定して再リリースすることで回避した……というのが技術的な話。gettextがGPLのままだったら確実に死亡していた案件なんだけど、初期のGPL版を入手したユーザからソースコードの要求はなかった、というのがこの件の本質じゃないかと思う。

当時のLinux(とりわけデスクトップ)界隈の雰囲気としては、盛り上げてくれる企業の参入は基本的に歓迎していて、OSSとの付き合い方におっかなびっくりの企業を温かく見守ってる感じがあった。なかでもエプソンはOSSへのコントリビューションも少なくない「優良企業」で、そういう会社がプロダクトレベルの製品をなんとかLinuxデスクトップに送り込んでくれた感謝みたいな気持ちと、すばやく対処してライセンス問題を解消してくれた行動力への賛辞が、彼らを窮地に追い込まずにおいたのではないかと思う。技術的な話ではなく「OSSコミュニティに真摯に向き合い、誠意を持って付き合え」という非常に情緒的な話であるし、これってけっこう今でも通用する話だと思う(とくに最近批判が高まっているクラウドベンダーのフリーライドっぷりをみるにつけ)。


後半は講演への質問タイムと、OSS(ライセンス)との付き合い方に関するディスカッション。けっこう参加者が多くてディスカッションをまとめられる感じではなかったのが残念。こういうのをやろうと思ったらMax 10人だよねぇ。それでもいろんな知見が語られて、刺激は多かった。

中でも盛り上がったのが、Contributor License Agreement (CLA)をどうするかという話。とくに企業が公開するOSSでは避けて通れないCLAだが、FSFみたいに厳密な契約書を交わすタイプから、READMEにチョロっと書くレベルのものまで、さまざまなものがある。「途中でライセンスは変更しない前提」なんてプロダクトもあった。法的拘束力を重視するとコントリビューションの敷居が際限なく上がってしまうし、落とし所が難しい。法務部門と協議してバランスとるしかないねぇ……という感じだ。


このイベントは少なくとも次のVol.3まではやりたいという関係者の話を聞いたので、次回もできるだけ参加したい所存。

あと宮田さんはいまCloudGarageの中の人ってことなので、こないだ作ったgemの話などをしつつ、DAP制度へのお礼なども直接できたので良かった。

*1 どっちも/.Jのページが出てきてさすがという感じである。当時の他のニュースサイトはほぼ死んでる。


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