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ただのにっき


2015-08-17(月) [長年日記]

アニメ「シンデレラガールズ」のプロデューサーにとっての「笑顔」

アニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」の2nd seasonが始まってはや何週間かたつ。さらっと流して観ても普通に面白いアニメのクオリティを保ちつつ、1シーン1シーン、一言一言に丁寧な意味付けがあって、じっくり観るといちいち深読みをしたくなってしまって本当に面白い。

今日ニコニコで流れた18話は、日中の陽が差し込まない暗い室内から、適切な時間経過を挟んで夕日が差し込んでキラキラ輝く江戸切子への転換の美しい演出に目を見張るものがあったのだけど、個人的に「おっ」と思ったのがプロデューサーがかな子と智絵里に「笑顔を引き出して欲しかったのです」と言ったところ。やっとはっきり言ったなぁと思ったものの、二人はそれを自分の笑顔のことだと解釈してしまって引き続きコミュニケーションエラーが出ているのがかえってリアリティがある。でもそういう意図なら「笑顔になって欲しい」と言うはずで、わざわざ「(相手の)笑顔を引き出して」とは言わないだろう。

プロデューサーが言う「笑顔」がアイドル自身の笑顔を指してないというのは1話のときから明確で、凛の笑顔を一度もみてない時点でスカウト理由に「笑顔」と答えるあたりで判明してる。より明確になったのは7話、未央に対してイベントの成功理由として観客の笑顔を示したところ。このポイントを意識的に共有してるのはまだ未央だけで、だから13話で観客を笑顔にすると宣言してからステージに向かう*1。プロジェクトで同じ価値観を持ってるのは他にはみくときらりくらいだけど、まだプロデューサーとは共有してない。舞踏会のサブタイトル「Power of Smile」について語ってる相手も常務だし。

そう考えると3話や11話でプロデューサーが客席を気にしているのは(客席にいるプロジェクトメンバのことを見てるのではなくて)観客が笑顔になっているかどうかを確認しているのだとわかる。客が笑っているかどうかだけを評価基準にしてるとか、このプロデューサー、そうとうシビアなプロフェッショナルだと思う。

そんな冷徹なプロデューサーでも、アイドルの笑顔を気にするときもある。9話で智絵里に「笑顔でできますか」と確認するのは、いまは客の笑顔どころじゃねぇって状況だったからだ。18話で智絵里の成長度合いが小さいという意見をみかけたが、そんな状態だった智絵里が「相手を笑顔にする」というチャレンジに応えて気むずかしい職人さんを破顔させたのだから、むしろこれは大飛躍といっていいと思うよ。

ここまで前振り。

で、やはり気になるのは卯月だ。「ポジティブ魔神」とか「ガンバリマスロボ」とか呼ばれている卯月は、実は自分が笑顔でいることしか気にしてない(7話)。だからそれができるようになってしまった今、行き詰まりを感じているはずで、2nd seasonにはその卯月が闇堕ちする展開なのではとみんな予想しているわけだ。まぁアニマスみたいな暗い展開になるかどうかは別として、卯月の笑顔が「自分」から「ファン」になるパラダイムシフトはあるだろうし、それが終盤のもっとも重要な展開になると思う*2。そして「Power of Smile」のバリューをプロジェクト全体で共有するのがクライマックス。

あーもう、書いてて勝手にワクワクしてきた!!

Tags: idolm@ster

*1 2nd seasonでやたらとPの尻馬に乗ってみんなを煽るのは、Pとの仲間意識がそうさせているのかも知れない。

*2 まぁ実際のところ、卯月の笑顔はみている者を自動的に笑顔にしてしまう最強兵器なんだけどな。


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