ただのにっき
2019-06-20(木) [長年日記]
■ 映画「青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない」を観てきた
前々クールのTVアニメが面白かったので劇場版も観てきた。原作未読。
通常、未完のTVアニメを劇場版で完結させるタイプの作品は(ちゃんとTV版内で完結させないセコさが気に入らなくて)観ないことにしてる。続編ならいいんだけどさ。でもこの作品はいろいろ刺さるところがあって気に入っちゃったんだよね。まず麻衣先輩のルックスがモロ好み(そこかい)。あとこの作品、一言でまとめると「ハーレムもの」で基本的に嫌いなタイプなんだけど、複数の女の子からモテまくる主人公の咲太が麻衣に一途なので浮気が発生しないんだよね。この構成はクールで良いと思う。なお、量子力学をマクロ的に都合よく解釈してるあたりは、SF者としては手垢のついた感があるのでわりとどうでもいい(笑)。
そんなわけで劇場版は、TVでいっさい解決してなかった牧之原翔子の思春期症候群解決編である。以下、ネタバレは気にせずに書く。
「とにかく麻衣に一途な咲太」という前提を崩すことなく、でもその関係を人命と秤にかけたら? というテーマがなかなかヘビー。ストーリー上では3人の命が交互に天秤に乗ってくるんだけど、あちらを立てればこちらが立たずという状況が二転三転して、先の読めない展開は手のひらにじっとり汗をかくくらいにシリアスで実によかった。とはいえ、最初の「事故」の時点で観てる側には「こんな悲劇になったけど……でもおれたちには思春期症候群がある!」と信じられる状況にもなったわけで(なぜなら絶対にハッピーエンドになるはずだから)、あとはこの現在・過去・未来がこんがらがった時空をどう解きほぐして全員を幸せにするかというパズル問題になる。
……というわけで、量子力学的に同時に存在しえないもうひとりの咲太を犠牲にするというトリックでハッピーな結末を迎えるわけだが、個人的にはちょっといただけない。最終的にはこの物語の記憶が全関係者に(夢という形で)残ってるあたりも、都合がよすぎてなぁ……。
個人的には二度目の事故では大人翔子を飛び込ませて、咲太の心臓だけがループするきれいなタイムパラドックスを作っておしまいにするのがいいと思うんだけどね(←グロい)。もともと大人翔子は思春期症候群が生み出した亡霊みたいなものなので、消えても問題ないはず。まぁ死人が出るストーリーは除外されたんだろうなぁ。実は子供翔子の最終的なドナーが死んでるんだけど。
と、まとめ方だけはイマイチながら、全編を通してかわいい麻衣先輩を堪能できたので良かったし、ハーレムものながらシリアスな恋愛作品でもあって、そこんところさえしっかりしていたのでOK!