ただのにっき
2017-09-22(金) [長年日記]
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映像研には手を出すな!(2) (ビッグコミックス)(大童澄瞳)
待ちに待った2巻が出た*1のでさっそく朝の通勤電車で3回読んだ。例によってひとコマひとコマに注目ポイントがあるから、じっくり読んじゃって時間かかるんだけど。通勤時間長すぎである。
今回は巨大ロボット(のモックアップ)を保有するロボ研からプロモーション用のアニメを依頼される話。いよいよ本格的な「商用」アニメの制作である。巨大ロボットという存在そのものが抱える矛盾に悩む浅草、メカの動きに苦労する水崎、短納期とクリエイターのお守りに奔走する金森と、三者三様のみどころがあるが、なんといっても水崎のアニメーションに対する語りがアツくてアツくて非常に良い。
ものづくりをする人には多かれ少なかれ、こういう「作り続けてないと死んじゃう」みたいなところがあると思うけど、そういう生存理由みたいな深いトコロにぐいぐいくる。泣ける。
これさぁ、学校の図書室に置いてほしいよねぇ。たぶん全国の中高にはさ、まだ浅草に出会えてない水崎や、水崎に出会えてない浅草がたくさんいると思うんだ。この作品は、そういう浅草と水崎をつなぐ触媒にきっとなる(金森は希少種すぎてまず出会えないのであきらめましょう)。
あとは気に入ったところをぽちぽちメモ:
- 金森「仕事に責任を持つために、金を受け取るんだ!」
- 「せっかく忘れてたのに。」今回の浅草氏はいちいちかわいい
- 涙の和解の影でいちいち無言のツッコミをいれる金森
- 「ロマンハッチ」
- ロボットのメインカメラが「RICOH THETA」なの妙にリアリティある
- ロボの足の地下足袋&ニッカボッカにはオリジナリティを感じる
- メガネで髪を束ねる金森
- 水崎家が豪邸すぎるけどそれ以上に水崎ルームがおかしすぎる
- ソファに寝そべる浅草の足の裏をせっせと写し取る水崎
- 金森、ついに浅草を「監督」と明言
- 風呂で延々と水の動きを観察する水崎
- ザリガニの塩ゆでをせっせと(ry
- あとそれを眺める金森の表情
- ペグで作った五徳。これはたしかにナイスアイデア
- 水崎が着てるマンタ(?)のシャツ欲しい
- ちゃんと「演技」を評価する水崎母
- 巻末のセリフはまいど良い!
あとさー、最後のアニメ上映シーン、水崎両親のセリフを重ねるためとはいえ、音声を描き入れてないの、いいよなー。音に頼りたくない水崎のこだわりを、実際にはあるはずの音声を紙面上ではカットすることで表現していて、見事としか言いようがない。
マイ・ベスト・ショットはこのコマ:
脱出用のロープに、足をかける結び目がちゃんと作ってある! こういうの、マンガではただだらんとロープを一本たらしただけの描写がほとんどだけど、そんなの上がれるわけないのである。作者のこだわりがわかるひとコマ。全編こんな感じですからね、読む方も気が抜けない(笑)。
*1 Kindle版。紙の方は10日も前に出ているが、Twitterを探せばわかるように難民続出だったので、Kindle版を同時に出版しない小学館は無能集団だよ。みすみすビジネスチャンスを逃してさ。電子書籍元年から何年経ったと思ってるんだ。金森の爪の垢でも煎じて飲め。