ただのにっき
2015-03-22(日) [長年日記]
■ 映画「イミテーション・ゲーム」を観てきた
(開くといきなりYouTubeの予告編が始まるような危険な公式サイトへのリンクはしません。あと「泣けるミステリー」なんて俗っぽいコピーをつけんなコラ)
週末は映画でも観ようということになって、評判の良い「アメリカン・スナイパー」がいいねという話になったものの、夜のフロンターレの試合にかぶる時間しかなくて、次善の案としてあがった「イミテーション・ゲーム」を観てきた。映画の存在そのものを知らなかったけど、コンピュータに関わる者にとっては最大のヒーローのひとり、アラン・チューリングの生涯を描いた(史実をベースにした)フィクションである。いやー、観てよかった。この作品を教えてくれたかみさんに感謝。
フィクションだというのは、たとえばロマンスのあたりはおそらくかなり美化されてるだろうし、そもそも暗号解読器に初恋の人の名前をつけるなんてロマンチックな話は史実にはないのである*1。それでもチューリングのもとに集まった研究者たちによるエニグマ解読のドラマはなかなか雰囲気があるし、3つの時代が入り乱れるストーリーは少しややこしいもののメリハリがあって最後まで飽きなかった。
……という話であるにも関わらず、暗号の仕組みについていっさい説明がないのが潔い。普通だったら簡単な換字式暗号あたりを使って暗号化・復号化と鍵の説明をしがちなところを「なんだかわからないけどすごいもの」という雰囲気だけで押し切ってしまう(笑)。実際に稼働するbombe(っぽいもの)がレトロな「機械」らしさを持っていて迫力があるので、それでいいやという気分になってしまうのは、一般向けの割り切りとしては悪くない。
そういえばチューリングがホモセクシャルだったというのは普通に知られてると思ってたけど、かみさんは知らなかったので、この映画は腐女子向けにもっとプロモーションすべきかも知れません(やめとけ)。でも恋に目覚める幼少時代のチューリング役の子の演技はなかなかの「怪演」だったよ。
ともあれこの映画のおかげでチューリングに対して十分に感情移入できるようになったので、サイモン・シンの「暗号解読」を読み返してもいいかも。あとWikiPediaの項にある生誕100周年の記述が古いので何か知ってる人は直したらいいと思う。
ギャガ
¥1,400
*1 実際の名前はポーランドで先行して行われた解読手法にちなんだ「bombe」。でもその初恋の人を復元するために人工知能の研究をしていたという話は読んだことがある(けど本当かどうかは知らない)。