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ただのにっき

2013-11-09(土) [長年日記]

零式 (ハヤカワ文庫JA)(海猫沢 めろん)

Kindleの奥底から優先的に読もうとすると、この作品みたいに2007年なんて奥付のものが出土してしまうのでほどほどにしないと……。

第二次世界大戦の終わり方がちょっと違ったanother history物で、アメリカに強制的に鎖国させられた、思想だけは民主主義的な方向にねじ曲げられなかったおかしな日本が舞台。とはいえ、天皇とか愛国とか、そういう単語は雰囲気を強調するためにだけ出てくる実体とはまったくかけ離れたもの。

リニアモーター車ばかりの世界で主人公が乗るのは過剰なパワーを持ったレシプロエンジン搭載の巨大なバイクで、そこだけに惹かれて買っておいた(と思われる)んだけど、廃退的で血みどろな描写が続くわりには匂いが感じられない、なんだか上っ面だけ過剰な文体に辟易としてしまった。なんつうかさー、血しぶきには鉄の匂いが伴わなきゃダメだと思うんだよね……。

Tags: book sf