ただのにっき
2013-01-18(金) [長年日記]
■ 「はてなスペース」を使ってみて、自分が「欲しいものを作れる人」で良かったと思った話
はてなスペースがオープンβに移行したので少し使ってみた。思えば昨年、Wassrの閉鎖にともなって「非実名でクローズドなコミュニケーションツールがない」と気づき、みずからMassrを作ったわけだけど、はてなも同じことに気づいたようですね……はっ、なんかちょうど10年前にも同じ流れがあったような記憶が!(→参考: はてなダイアリー10周年)
冗談はさておき、中央に掲示板、右カラムに関連する話題のニュースフィードというレイアウトはなかなかいいアイデアだと思った。「同じ話題で盛り上がる人たちの集まり」をうまく可視化している。UIも日常的にWebアプリを作ってる会社だけあってこなれているというか、奇をてらわず直感的に使いやすいし、日常で多用するツールとして必要なショートカットもうまく設けられている。TAB一発で投稿欄にフォーカスが移るところとかね。
で、ひととおり使ってみて(まだ発展途上だと承知した上で)やっぱ常用するならMassrだよなぁと思う。これはもう当たり前の話で、万人向けのサービスとしてバランスをとらなくてはいけないはてなスペースと、自分と少数の知人たちに向けてチューンしているMassrでは、後者のほうが自分にとって圧倒的に使いやすいのは当然だ。あまたのブログサービスがどんだけ進歩しても、おれにはtDiaryが一番手に馴染むのと同じこと。
こんなとき、「自分が作れる人間で良かったなぁ」とつくづく思うのだった。もちろんおれの場合、作れるのはソフトウェアに限るわけだけど(最近はニットも「作れる」ようになったが)、それでもITがのさばるこの時代では、日常の困ったことのかなりの部分を自力で解決できるのだ。こんなに幸せなことはない*1。
もちろん大多数の人はソフトウェアを作れない人たちなのだから、作れる人が「1億人が使うサービス」を目指すのは気高く大切な仕事だ。でもみんながそればっかり使う世の中は、やっぱりなんだか面白くないと思う。作れる人たちが、もっと多様性に富んだいろいろなもので世の中をあふれさせてくれたら楽しいのにな。
かようなことを考えながら、プログラミングを覚えたての頃に感じた「万能感」を思い出すことが最近妙に増えた。こないだも書いたよね。歳のせいですかね。それとも表面的な「ユーザ数」を競うばかりのWebサービス業界に嫌気が差してきたのかもしれないね。
*1 絵や音楽が作れる人は自分の内なる美意識を満足させることができるだろうし、機械いじりができる人は車やバイクを自分好みに改造できるだろう。人それぞれが持つ技能に違いはあれど同じような感覚は多くの人が抱くと思う。