ただのにっき
2012-05-04(金) [長年日記]
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いま集合的無意識を、 (ハヤカワ文庫JA)(神林 長平)
相変わらずの神林節で面白かった。以上。……というのは(これを読み返す未来の自分に対して)あんまりか。
アフタヌーンで「勇者ヴォグ・ランバ」というちょっと神林世界っぽい骨太なSF作品が連載されていて毎月楽しみにしているんだけど、「意識」を喪失するということは想像力を失うことを意味するという本書の表題作で行われる議論と似通っていて、今後の「勇者ヴォグ・ランバ」の読み方に何かを付け足してもらったようで嬉しかった。なにかと「伊藤計劃」というキーワードとともに語られがちな作品だし、そのことはもちろん重要なんだけど、ぜんぜん別の楽しみもできるってことで。あと、飛浩隆の解説が補完的な意味で良い。
冒頭の「ぼくの、マシン」も含め、ネットワークに対する嫌悪というか不快感が提示される作品が目立つのだけど、ひごろからネットの向こうに芽生えつつある集合意識/無意識の存在が面白くてしょうがないネットジャンキーの自分としては、この感覚とは相容れない。まぁたしかにスタンドアロンのコンピュータも楽しかったし、作者の言うこともわからんではないけど、ネットにつながってからの楽しさはその比じゃないしなぁ。もちろんそれが年寄りの懐古趣味ではない、と確信するくらいには神林長平を信じているので、意見の相違は乗り越えて楽しんで読んだわけだが。
早川書房
¥682
もちろん、以下を読んでいないと表題作は理解できない:
9784150310196