ただのにっき
2012-01-24(火) [長年日記]
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クロノリス-時の碑- (創元SF文庫)(ロバート・チャールズ・ウィルスン)
「時間封鎖」「無限記憶」のウィルスンということでそこそこの期待をこめて読んでみたが、もう一声という感じかなー。いや、面白かったけど。解説によれば「時間封鎖」よりも前の作品ということで、なるほどここからメキメキ腕をあげていったというわけか。
20年未来から打ち込まれた巨大な石碑というアイデアはじつにいいんだけど、その背景にある(SF的な)仕掛けの説明はたんに学術用語っぽいものを並べただけであんまり説得力は感じない。いまどき多世界解釈を採用しないという勇気は認めるが、かといってタイムパラドックスに正面から挑むというわけでもない。つまり時間SFとしては中途半端なんだよな。
一方、ウィルスンらしい人間ドラマはかなりリアルで、アメリカの中流がこういう事件に巻き込まれるとどんな感じになるのかという雰囲気はすごく出ている(たぶん。アメリカ人じゃないので自信はない)。だから、小説としてはけっこう楽しめたので、まぁ当たりといえなくもない。
それはそれとして、「時間封鎖」シリーズの最新刊はまだかなー。