ただのにっき
2011-12-13(火) [長年日記]
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歌う船 (創元SF文庫)(アン・マキャフリー)
アン・マキャフリーが先月亡くなってしまったので、例によって追悼読書。今年はこんなんばっかりや。
多くの読者にとってマキャフリーといえば「パーンの竜騎士」シリーズだと思うが、あまりファンタジーを読まないおれにとってはなんといっても「歌う船」だ。発表年を見てみたら自分が生まれるより前から書かれていたんだよなぁ。そんな作品が50年たってもまだ読める。今回自炊してバックアップも万全なので、事故さえなければもうずーっと読める。電子書籍はこうありたいですね(棒読み)。
先天性異常で脳だけになった主人公の少女が、サイボーグ宇宙船となって、相棒となる〈筋肉〉たちと銀河を駆け巡るという設定のスペースオペラ。なにせ主人公は10代の少女なので、初恋をし、そして破れ、どうしょもないダメ男にひっかかり、最後には伴侶を見つけるという少女マンガの王道プロットをなぞっているのがすごい。1960年代作品なのに。しかも設定上の制約から、プラトニックにならざるをえないというのがもどかしさを増幅するわけで、当時のマッチョなアメリカン・スペオペの中ではさぞかし異彩を放っていただろうなぁ。
さすがに古臭い表現もあるが、今読んでも面白い。時代を超えて読み継がれる作品だ。