ただのにっき
2011-08-05(金) [長年日記]
■ ひさびさに自分のプレゼンを聴いた
社内向けに不定期にWebアクセス解析のセミナー講師をしているのだけど、先日のセミナーもようを参加者が録音していて、それが(社内で)公開されてしまったものだから、せっかくなので時間をみつけて聴き返した。なにしろ延々3時間しゃべりっぱなしのセミナーなので、全部聴き返すのもひと苦労だ。
最近はカンファレンスなどで発表することも少ないので*1、あとで自分のしゃべりを聴く機会はずいぶん減ってしまい、こういうのは貴重だ。とか思ってるなら自分で録音すればいいものだが、まぁそういうのはようするに面倒くさいのである。手軽な録音・録画機材を持ってる人は、空気読まずにどんどん記録して公開し、講演者にフィードバックしてあげると良いと思います。まぁ最近は公開カンファレンスならふつーにUstがあるけどな。
で、一番「おおー」と思ったのは、「えー」とか「あー」とか言葉にならない「つなぎ」がずいぶん少ないこと。以前聴いた講演ではもっと(見苦しいくらいに)入っていたので、これは進歩であろう。というか、これは何度も同じセミナーをやっているために練習効果が出ていると解釈すべきだな。シナリオが全部頭に入っていれば、つっかえたり考え込んだりせずにスラスラと喋れるのである。練習はホント大切だ*2。
一方、1時間をくらい過ぎたあたりから、咳払いが頻繁に入る。喉が弱いのだなぁ。これはどう鍛えればいいのやら。もっともこれはまぁ、そもそも3時間ものあいだ講師がしゃべりっぱなしというスタイル自体に問題があるので、それはまた別途検討しなおさなくては。
あと、文脈の違う話を唐突に間髪を入れずに挟む癖がある。文章ならカッコ書きなどで「印」を入れられるからいいが、しゃべりでこれをやられると混乱のもとだなぁ。ちゃんと間を入れるなり、切り替えの合図をするように意識しないと。
なお、肝心の「セミナーが受講者にとって有用だったか」どうかは録音を聴き返してもわからないので、これはまた別の評価が必要である。言うまでもなく。
■
新世界より(上) (講談社文庫)(貴志 祐介)
各賞総なめ的な傑作だったはずなんだけど、ちょうどSFから離れていた時期だったせいか読むチャンスがなく、ふと入ったBookOffで文庫が揃っていたので買ってみたのだった。あーもう、断裁料がバカにならないから、ちょっと古めの文庫は全部BookOffでいいなぁ。新品買って欲しかったらとっとと電子書籍化してねってことで、出版社のみなさんはがんばってください。紙の古本と電子版があったら、たとえ高くても電子版を買うからさ。
さて本題。
今から千年後、極端に人口が減少した、なぜか念動力が使えるようになっている人類。茨城あたりにある日本人コミュニティを舞台にした、ミステリーあり、伝奇あり、冒険ありの本格SF。たしかにこりゃ傑作だ、分厚い三冊を一気に読んでしまった。
科学力が低下しているせいもあって念動力には論理的な説明がつかないのだけれど、たった千年で異様に変貌した生物相とか、人類社会の変化にはそれっぽい理屈がつけられていて、ちゃんと現在の延長線上にある未来という体裁が整っているのがすごい。登場する新種の生物たちがまた魅力的で、ちょっと「地球の長い午後」っぽいなー、と思っていたら、解説でネーミングに関してインスピレーションを得ているという話が出ていた。なるほど。
人類そのものをネタにした本格SFはざっくり二種類に分類できて、それは「どんなに環境が変わっても人間は変わらないよ派」と「人間はここまで変貌できるかも知れないぜ派」なんだけど、後者は非常に希少なので本書はもちろん前者なのだけれど、それゆえに登場人物に感情移入できてSFに馴染みのない人にも読みやすい(かも)。
9784062768559