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ただのにっき

2011-04-27(水) [長年日記]

スパイダー・スター〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)(マイク ブラザートン)

だいぶSFから遠ざかっていたので、その間に出ていた翻訳SFを漁っていたりして。といっても何を読むべきなのかさっぱりわからんのだよな。この作品はネット上のレビューはかなり評判悪いみたいだけど、おれはわりと楽しめたな。主人公の年齢が近くて、動機に共感できるからかも知れない。

舞台装置は「リングワールド」的な何か、ただし探検隊が背負っている使命ははるかに重いという設定。ファーストコンタクトもあるが、近年よくある知的で友好的ではないあたりがいい。そうそう、たまにはこういう血なまぐさいファーストコンタクトも書かれるべきだよ(笑)。

何年も訓練を積んで結束力を高めたチームが、とつぜん政治的な理由で「ヒーロー」を新たなリーダーとして受け入れなくてはならなくなるという場面があって、旧リーダーの葛藤がまた、現実世界でもじつに「あるある」な状況で身につまされる。主要登場人物たちが持つ背景が単に「(SFに不足している)人間を描く」ためだけに存在しているわけではないのも良い。

ただ、オチが「超越者による謎の超技術」頼りなのがイマイチかなー。これは安直だよね。

ところで本書でもっとも心を動かされたのが、解説にあった作者の近況だ。現役の天文学者であるブラザートンが使っている施設はあのVLA! 羨ましい!(そこか)

スパイダー・スター〈上〉 (ハヤカワ文庫SF)
マイク ブラザートン
早川書房
¥8

スパイダー・スター〈下〉 (ハヤカワ文庫SF)
マイク ブラザートン
早川書房
¥1

Tags: book