ただのにっき
2011-04-15(金) [長年日記]
■ Jコミが理想から一歩後退してしまった……ような(2)
昨日書いた日記が非公式RTで広まって赤松健の目にとまってしまったので、なし崩し的にTwitterで質問タイムになったのだった。というか、基本的に「著名人は呼び捨て」という現代日本においてはごく普通のルールで書いてきたのに、こうやって直接会話してしまうと呼び捨てにはしづらいよなぁ。Twitter怖いです。
新サービス「ラノベ配信」開始の直前という忙しいさなかに長々と相手をしてもらって申し訳なかった感じだが、有意義な対話ができたと思うので、その時のもようをTogetterにまとめておいた:
震災以降、広告業界は本当にひどいありさまなので(なにしろしばらくのあいだいっさいの宣伝活動がなかったわけだから)、ここで言う「純広告」が少ないというのは真実だと思う。純広告が順調に入るまではmicro Adが使えるアルヌールでしのぐしかないだろう。一方でβ版の広告契約期限がくるまでに正式オープンしなくちゃいけなかったのだとすれば、アンバランスな状況もいたしかたないかな。
というわけでしばらくは(期待を込めつつ)状況を注視しましょう、というのが現時点でのおれのスタンス。もっとも、「純広告」に雑誌のスキームしか使えないというのもどうかと思うんだけど。広告代理店はJコミにマッチした提案をすべきなんじゃないかねぇ。今がんばれば数億円が動く新しいチャネルになるかもよ!*1
一方、気になるのがアルヌール上での閲覧で読者が満足すると考えている節が伺える発言があったこと。昨日も書いたように赤松健は一連の「Jコミ騒動」にまつわるインタビューで、手元にPDFを持つことでコレクターの所有欲を満足させることが大切だという意味の発言をしている。またつい先日打ち出した「違法絶版マンガファイル浄化計画」でもWinny等のP2Pネットワーク上に存在してる違法zipファイルを一掃しようと呼びかけているが、アルヌールでそれが実現できるとは思えない。クラウドにデータを置いておいても安心だと思えるのは、そのサービスの継続性がかなり確実な場合だけだ。悪いがJコミの継続性にはまだまだ危うい面があるわけで、手元にファイルを置いておきたいというニーズは根強いだろう。
そうはいっても「純広告」が入らないとそのニーズに応えるのもままならないわけで、ま、引き続き注目しつつ、KindleやSONY Reader(あとiPadも?)で読みたい人はしばらく我慢しましょ。赤松健も「PDFがいっぱい揃ったら、また見に来て下さい」って言ってるわけだし。
追記: アナウンス文から「上位3作品」という制限が消えたようだ。
*1 たった数億円ぽっちじゃ動かない業界かも知れないが(笑)。