ただのにっき
2011-04-14(木) [長年日記]
■ Jコミが理想から一歩後退してしまった……ような
以前から何度かとりあげていた赤松健のJコミがついに正式オープン、新しい作品も公開されたというのでちょっと遅れて見に行った。新しく公開された作品というのは「プレイヤーは眠れない」。評判だけはちょっと聞いたことがあるので楽しみ。
ところが、探せども探せどもダウンロードリンクが見つからない。で、中の人のブログに行ってみて愕然とした:
★今後の、マンガのPDF化について
正式公開に伴い、βテストの4作品(ラブひな等)は、PDF版を抹消しました。このため、現在は全ての作品が、アルヌールでの閲覧となっております。ところで、βテストでPDF版に付けていたような「純広告」は高額で、それゆえ数は有限です。それに対して、アルヌールで表示しているような「ネット広告」は、無限に近いと言えます。そこでJコミでは、アルヌールで読まれた人気上位3作品ほどをPDF化することを計画しております。
アルヌールというのはJコミで開発したオンラインビューアだ。つまり、絶版コミックのPDFを手元に置いて好きなときに好きな場所で読めるというJコミのウリがどっかに行ってしまったことになる。はてさて、これはいったいどういうことだ?
理由として述べられている「有限の純広告のため」というのはちょっと嘘っぽい。というのも過去に公開済みの作品はすでにクリック上限に達しているのでわざわざ削除する必要はないからだ(もし新規広告の効果が下がることが懸念されるのであれば広告削除版のPDFに差し替えればいい)。
赤松健はJコミ関連のインタビューで、作者、出版社、読者のだれも損をしないスタイルとしてJコミを立ち上げたと語っている。特に読者の「コレクション欲」を満たすことを強調していた(例えば「Jコミで扉を開けた男“漫画屋”赤松健――その現在、過去、未来」)。今の状態ではコレクターのニーズがまったく満たせないことは赤松健本人がなによりわかっているはずなので、これは何か明かせない裏があるのだろうなぁ。
単純に考えれば広告が集まってないってことだと思うけど、コスト構造的に営業増やせるわけじゃないってことかね。それともうっかりβ版が成功しすぎたせいで作者がいっそうの収入を期待するようになり(ようするに欲が出て)、継続的に広告が打てるオンラインビューアでの公開のみを求めてるのか。もしこっちだとしたらちょっと困りものだよね、作者に批判が行ってしまうといけないから絶対に理由を公表できないし。
いずれにせよ、好きな端末で読めないのは魅力半減どころか限りなくゼロに近いので、この方針である以上「Jコミよさらば」としか言いようがない。がんばって欲しいんだけどねぇ……。
追記: とても重要な続きを書いたので読んでね! → Jコミが理想から一歩後退してしまった……ような(2)