ただのにっき
2011-02-20(日) [長年日記]
■ ダイソンの話の落ち穂拾い
先日のダイソンのサポートの話、意外に集客したせいか痛めのツッコミもいくつかあって、そういう読者になんの情報ももたらさないものはいつものようにバシバシ削除しているのだけれど、「DC12のコード部分から発火事故が相次ぐ」という報道は本当に知らなかった。まぁ返信にも書いたように、本当に欠陥なのかどうか判断しかねるのだけど、朝日新聞以外の(信憑性の高い)ソースをご存知の方がいたらぜひ教えてもらいたい。少なくともタレコミした匿名ユーザー氏は捨て台詞を吐いて逃げちゃったので、そういう情報はお持ちでないらしい。
追記: ダイソンはすでにDC12の件を注意喚起している(PDF)。知りたいのはこれが「本来ならリコールすべきもっと重大な問題である」といった陰謀論を裏付ける証拠である。
まぁ、先のエントリにはダイソンDC12の性能や品質に関してはいっさい触れていないように、あの話の主題はブランディングである。性能に関して言えば、音がやたらとデカくて、そのわりに吸引力はパッとしない。その点に関しては国民生活センターのレポート(PDF)にある通りだ*1。もっとも、フローリング主体の現代の日本家屋では、DC12でも十分な吸引力だと思うけど。吸い込んだら困るようなものまで吸い込んでしまうような、過剰なパワーなんていらないよ。少なくとも「あっ」を叫んだあと慌ててスイッチを切り、集塵バッグの中をひっかき回すような羽目には、DC12にしてから一度もあってない(笑)。
品質に関して言えば、パーツの「合い」がけっこう甘くて、よく見ると隙間が多くてびっくりする。日本製品だったらとうていありえないような雑な作りに見える。だが、スイッチを入れると負圧でぴったり密着するので、機能的にはなんら問題がなかったりする。これも逆に日本製品の過剰品質を感じてしまったりするポイントだ。
というわけで、日本製品には性能面でも品質面でも及ばないDC12だが、それでもけっこう気に入っているのはあのデザイン、特に色! あのとろけるような濃いソリッドイエロー、日本製品にはまずないんだよねー。なぜか日本メーカーは人畜無害なパステルにするか、高級感を出そうとしてラメを入れてしまうので。特にラメはいかん。あれは高級ではない、ただの下品だ。
なんて書いていたら、聴いていたラジオから(たぶん日本製の)「エラーの内容を音声で教えてくれるすごい洗濯機」の話題が流れてきたのだけれど、その内容が「エラー番号を控えて、説明書にある電話番号に連絡しろ」だって。脱力。技術の使い方を間違ってるよなぁ。電話番号を本体に貼った方がはるかに効果的でおまけに安上がりだぞ。
ブランド価値を高めるには個々の製品の完成度をあげるだけでは足らなくて、製品をまたがったトータルな「デザイン」が必要だ(これで成功している典型的な企業のひとつがApple)。例えば10年間故障知らずの日立の掃除機があったとしても*2、「次の掃除機も日立にしよう」とはなっても「洗濯機も日立にしよう」にはなかなかならない。「掃除機の信頼性」を「メーカーの信頼性」に転換する要因がないから。Appleやダイソンは、そういうところが上手いわけだ。
ところで今回の記事で一番ショックだったのが、集客元にエロ動画サイトが含まれていたこと。そのこと自体は別になんでもないんだけど、その数がGIGAZINEすら大きく超えていたのだ。それも、エロ動画をずらっと並べた中に、ほんの2行、運営者の一言的なコーナーで触れられているだけなのにだ。
エロサイト訪問者の心理を想像するに、エロ以外のコンテンツに寄り道することが重要になるとはとても思えなかったので、あきらかにエロとは無関係のリンク先がこんなにクリックされるとは思いもしなかった。これはいったいどういうことだ?
- リンク元サイトの訪問者がこれよりもはるかに多い(のでこっちへの流入はノイズ程度)
- エロサイトの住人はエロだけを求めているのではない(ので無関係なリンクも積極的にクリックする)
前者ならまだわかるし「エロパワーすげー」で済むけど、もし後者だったら認識を改めないとなー。もっとも、だからといってお客さんに「エロサイトからリンク貼ってもらいましょう」とは提案できないけどさ。