ただのにっき
2010-12-08(水) [長年日記]
■ 金星探査機「あかつき」、(1回目の)軌道投入に失敗
昨日の朝に実施された「あかつき」金星軌道投入の逆噴射を固唾を飲んで見守っていたのだけれど(いや、仕事はしてたよ!)、可視になっても通信が回復せず、その後LGA (Low Gain Antenna)での通信回復、自動でセーフモード入りしていたことの発覚などなど、わが町相模原がこれほどテレビに映った日はないんじゃないかと思うくらい激動の1日だったのだが、けっきょく周回軌道には乗っておらず、今回の軌道投入は失敗ということになったようだ*1。
今は自慢のフェイズドアレイアンテナによるハイゲインな通信ができているようなので、探査機自体は元気、姿勢制御などにも問題はないようだけど、肝心のセラミックスラスターが無事なのかどうかはわかっていないようだ。いやはや、惑星探査は難しいねぇ。
普通、惑星探査で軌道投入に失敗したら、それで探査計画はオシマイになるものだけど、「はやぶさ」以来の強運がここでもISASを救ったのか、太陽を周回する軌道に乗った「あかつき」は6年後にもう一度金星と邂逅するということで、再チャレンジできるらしい。だから「1回目」の失敗。
って、いやいや、マジかよ! 6年なんて探査機の設計寿命は終わってるし、しかも金星よりも内側の軌道に入っているから温度も高い。だいたい、6年間もプロジェクトを維持するって大変だぞ。……と、不安要素はたっぷりだけど、あの「はやぶさ」を帰還させたISASのこと、きっとやってくれるに違いないという、なんというか、不条理な期待を抱いてしまう。こうしてハードルはどんどん上がっていくのだなぁ。いっしょに予算も上がればいいのにね……。
上の図は、Twitterの「宇宙クラスタ」で作られた応援ワッペン。「あかつき」の次の6年間にたどる新しい軌道が描かれている。元画像はこちらなんとか成功して欲しいものです。
*1 臼田の可視が終わったあと、地球局がNASAのDSNマドリッドに引き継がれたと聞いて、「あの70mがいま『あかつき』を追っている!」と想像したら、それだけで鼻息が荒くなったよ。