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ただのにっき

2010-06-10(木) [長年日記]

iPhoneユーザが目の色を変えるAndroidの機能紹介(2) - 賢い「戻るボタン」

前回紹介したインテント、「マルチタスクOSならでは」的な書き方をしたけど実は嘘で、別にシングルタスクOSだって実装できる*1。だからまぁ、Appleはあえてアプリケーション間連携機能を削っているという見方は正しいだろうね。iOS4でその垣根は少し低くなるようだけど、それでもiPhoneのアプリ間に立ちはだかる塀は高い。

そんなアプリ間の行き来についても、Androidはとてもよくできている。インテントと並んで評価の高い機能が「戻るボタン」なので、今回はこれを取り上げる。「戻るボタン」は多くのAndroid端末に付いているハードウェアキーで、これがアプリケーションを跨いだ遷移を実に上手にさばいてくれるのだ。

ちょっと脱線するけど、iPhoneアプリが内蔵するブラウザで、「戻る」操作を間違えたことがないだろうか。おれはよくあった。ブラウザには「ページ遷移」を制御する「戻るボタン」が必要だが、アプリに組み込まれるとさらに「前の状態」に「戻るボタン」が必要になるため、画面内にふたつの「戻るボタン」が発生してしまうのだ(アプリによって表記をいろいろと工夫しているが、機能的に近いので迷ったり間違えたりすることに変わりはない)。

ちょっと自分のiPhoneに入っているいくつかのアプリの内蔵ブラウザを並べてみた:

こんど「iPhoneアプリは厳格な審査のもとにUIが統一されているから使い易いんだ」的なことを言うヤツがいたら首を締めてやる!

……閑話休題。

こんな内蔵ブラウザの乱用が起こるのも、標準ブラウザ(Safari)をアプリ内から立ち上げると、元のアプリに簡単に戻る手段がiPhoneにはないためだ。いったんホームに戻って前に使っていたアプリを探して(また探しもの!)、起動すると前の状態を忘れていてガックリなんて場面もよくある。

Androidの「戻るボタン」は、上記の問題を両方ともスマートに解決している(下の写真はHTC Desire。左矢印マークが「戻るボタン」)。

まず、ハードウェアキーなので、間違えるということがない。これはとても重要なことで、アプリケーションは個別に同じ「戻る」という機能のキーを狭い画面に押し込めることなく実装できるから、画面が広く使えるだけでなく、操作が統一できる。多くのアプリで共通の操作になる機能には、独立したキーを与えるべきなのだ*2

さらに、アプリケーション間を遷移すると、その遷移状態も「戻って」くれる。例として、こんなシチュエーションを考えたよ:

1. たださんは趣味を同じくする知人から耳寄りな情報をメールで受け取ったようです。さっそく、メールに書かれていたURLをタップ。

2. Androidではブラウザを内蔵したアプリはめったにない。当然、デフォルトのブラウザ*3が立ち上がってWebページが表示される。おっと、知人が教えてくれたのはTwitterのURLかと思ったら、公式サイトのURLだったようです。右メニュー内にイカロスくんのTwitterアカウントを見つけてタップ。

3. twitter.comのURLを検知して、(ブラウザではなく)Twitter専用クライアントtwiccaが立ち上がる*4。さっそくフォロー。

さて、ここまで3つのアプリを渡り歩いてきたわけだが、このあと先ほどのメールに返事が書きたい。iPhoneではホームボタンを押して、アプリ一覧からメールアプリを「探して」立ち上げるか、iOS4ではホームボタンを二度押しして起動中のアプリを「探して」選ぶというところ。iPhoneはほんとうにこの「探す」作業が多いね。

Androidでは、「戻るボタンを2回押すだけ」。

しかも、途中に挟まったブラウザのページは、メールに戻る段階で閉じられるので、次回ブラウザを起動したときにも残ることはない。ユーザの「操作の歴史」をアプリケーション境界を超えてたどることで、メール/ブラウザ/Twitterクライアントがまさに渾然一体となった動作を実現してくれる。

この他にも、戻るボタンはあらゆる場面で最適な「戻る」動作をしてくれる。ポップアップを閉じるときも、通知バーを引き上げるときも、キーボードを一時的に隠したいときにも「戻るボタン」をクリックするだけで期待通りの動作をする。Androidの「戻るボタン」は、スマートフォンを名乗るからにはまさにこうあって欲しいという「スマートさ」を持っているのだ。

*1 年配の人はCOMMAND.COM(MS-DOS)の作業ファイルを経由するパイプ処理を想像するとよろしい。

*2 追記: ツッコミにもあるが、残念なことにハードウェアキーとして実装していない端末もある。

*3 画面は標準ブラウザではなくAndroidマーケットからダウンロードしたDolphin Browser HD。

*4 twiccaはAndroidの特色のショーケースと言っていいくらいに多彩な機能を実装していて実に楽しいクライアントなので、Androidを入手したら試してみるべきアプリの筆頭。