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ただのにっき

2010-05-04(火) [長年日記]

キケン(有川 浩)

男ばかりの工学系大学のサークル「機械制御研究部」(略称「キケン」)を舞台に、本気で遊ぶ大学生たちを描いたオムニバス長編。

多くの人にとっては荒唐無稽で面白い話なんだろうなーと思うけど、自分は「あー、あるある」という共感は覚えこそすれ、あんまり盛り上がらなかった。あとがきにも書いてあるけど、男子たるものみな自分の「キケン」を持っているもので、それを外部から女子が観測した結果を小説にしただけだから、シチュエーションがあんまりぶっ飛んでないんだよね。

いや、客観的にはぶっ飛んでいるんだけど、変にリアリティにこだわるせいで「まぁこれくらいはあるよな」という感想になってしまう。そうなるともう、フィクションとしての枠に足りてないわけで、男子としては満足できないわけです。もっとファンタジー成分多めでいいと思う。

ちなみに自分にとっての「キケン」は中学時代で、爆弾こそ作らなかったが、フラスコいっぱいの水素ガスに火をつけてみたり、部室でニトログリセリンを合成したりしていたのだから、危険レベルとしてはこの話の大学生たちとたいして変わらない。あ、おれは横暴な先輩に振り回される下級生の役回りだったので(笑)。

あんな面白い経験ができたのも、何をやっても全部責任かぶってくれた恩師・鎌田先生(女性)のおかげです。ありがたや。良い「キケン」には、良い大人の存在が欠かせない。本書に物足りなさを感じるのはそれもあるかも。

Tags: book