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ただのにっき

2010-03-03(水) [長年日記]

ユーザビリティエンジニアリング―ユーザ調査とユーザビリティ評価実践テクニック(樽本 徹也)

昨日Twitterで、ユーザビリティやアクセシビリティを「思いやり」という言葉を使って説明することについて議論している集団があったので、思わずツッコんでしまった。少なくともユーザビリティは「use」+「able」、つまりそのモノが「使い物になるかどうか」がポイントであって、制作者の「思いやり」なんてウェットなものは関係ないのである。アクセシビリティだって似たようなもので、思いやりなんてあやふやなものを基準にモノを作っていたら、10年20年後になって過去の自分を呪うことうけあい。

ユーザビリティやアクセシビリティの書籍は、そんな世間の勘違いを正すところから入るのが定石で、積読箱の奥深くから発掘してきた本書もそうだった。著者は人机交互論の樽本さん。日本のユーザビリティの第一人者である。ブログは前から読んでいたのに、本を読むのは初めてだったりする。もう4年以上前の本なのに、まったく古びたところがないのがすごい。

内容はかなり実践的で、概論的なのは最初の章だけ。あとはユーザインタビューやシナリオ分析、プロトタイピングのような現場で使えるさまざまな手法を具体的な細かく解説。圧巻は後半1/3を占めるユーザテストの章で、「ここまで手の内晒しちゃっていいの!?」とビビるほど詳細に説明されている。実際、この本片手にユーザビリティ屋を開業してもやっていけるんじゃないかというくらい(笑)。

本書が出版されて数年、それでも、ここまでしっかりやる顧客は(少なくともWebサイトでは)めったにいないんだけどさー。早めのユーザテストは、トータルで見れば安上がりだと思うんだけど、なかなか理解されないんだよなぁ。

Tags: book