ただのにっき
2008-10-17(金) [長年日記]
■ バリントン・J・ベイリー死去
なんというか、ベイリー作品を読んだあとの、なんとも言えない高揚感を思い出して、15年ほど意識がタイムスリップしてしまった感じだ。ベイリー作品は一言でいうと「ばかばかしい」んだけど、かといって典型的なバカSFを読んだ後の脱力感はなくて、「ベイリーのバカ話に最後まで付き合ったぜ!」という達成感のようなものがあるんだな。不思議な作家だった。
ベイリーというとまずあげられるのが『時間衝突』だと思うが、個人的に好きだったのは『カエアンの聖衣』と『禅<ゼン・ガン>銃』。時間や宇宙をネタに大きい話を書くのは誰にでもできる。でも「スーツ」や「拳銃」という小道具をメインアイデアに据えて、ここまで話を大きくできるのはベイリーだけだろう。
ワイドスクリーン・バロックにカテゴライズされることの多かったベイリーだが、他のワイドスクリーン・バロック作家とはその「ばかばかしさ」っぷりが飛びぬけていて、特定のジャンルに入れるにはもったいない作家だったと思う。ベイリーはベイリーというジャンルだったんだよなぁ。
↓に代表作をあげておくけど、もちろんどれも絶版だ。ハヤカワはこれを期に復刊すべき!
早川書房
¥500